アオヤギさんたら読まずに食べた

暮らし、エンタメ、金、自己啓発、ときどき旅

女性アイドルグループとセンター抜擢と世代交代と

乃木坂46齋藤飛鳥卒業コンサートを機に、ここ数年の乃木坂の歴史を学んでいる。私はAKB48のライトオタクで、それがゆえに乃木坂のことを一時期気にしていた。一番ぐっと来ていたのは生駒ちゃん、一番やられたのは西野七瀬。彼女らの卒業のあとは、レコード大賞や紅白での出演の登場は見るけれど、グループとしては追いかけていない、という状態だった。

そんな折での齋藤飛鳥卒業コンサートである。齋藤飛鳥は卒業しても芸能界にい続けてくれるだろうが、ダンスや歌をこんな形で見せてくれるのはほとんど最後になる予感がしていた。現地参加はできるはずもなく、リピート配信で視聴することに。

配信前、予習としてドキュメンタリー「いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46」(2019)を見た。私にとって前作ドキュメンタリー「悲しみの忘れ方」は、女の子がくるくる回る映画殿堂入りをしている作品。さらにメンバー紹介ムックを買って、画面に女の子が抜かれるたびに「この子は〇〇ちゃん!!」と読み上げ&確認クイズをやって知っているメンバーを増やしていった。

そして配信。「最後の1期生」といえば、AKB48峯岸みなみコンサートが記憶にある(あれも配信で見た)。1期生OGを随所随所に召喚し、ある意味OGの話題性でマスコミを呼び、現役を少しでも印象づけたい、という思いが伝わるコンサートだった。では乃木坂最後の1期生はどうするんだろう、と思ったが、1期生を呼ぶような形ではなく、現役だけで成立させ、現役だけでやっていきます、明日からも現役をよろしくね、とファンに頼み込むようなコンサートで、これはこれで素敵なグループ愛だな、と感じるような構成だった。

せっかくの機会なのでもっと知っておきたい。ということで実写「映像研には手を出すな!」を見たり、

 

乃木坂46公式書籍 10年の歩き方」を読んだりした。

 

個人的にいいな〜と思ったのは、新しい期が加入すると、その期の中からひとりがシングル表題曲に抜擢されるカルチャー。2期生の堀未央奈が大抜擢された「バレッタ」の大荒れ具合はリアルタイムでよく覚えているし、5期生の中西アルノに関連した「Actually…」のころは、乃木坂を追いかけている人達の心が乱れまくっているのをタイムライン越しに見ている。だから乃木坂のファンであればあるほど複雑な気持ちを抱いている仕組みだとは思うが、ライトファン(というか入門くらいの人間)からするといいな〜〜と思う。

公式書籍を読むと、抜擢されたセンターポジションの子は、異口同音に「どうして自分がセンターなのかわからなかった」とインタビューに答え、「1枚目は慌ただしくやっているうちにあっという間に終わってしまった」と振り返っている。その「あっという間に終わってしまった」経験だとしても、やるかやらないかでは大きく違う。人気とタイミングによって抜擢ではない形でもう一度センターをできたとき、1枚めでの後悔や心残りが、彼女たちの中でいい意味で作用していることがわかる。

会社員的マインドの自分からすると、この「センターでの抜擢」は、「プロジェクトリーダーに抜擢される」みたいなものとパラレルに解釈したくなるところ。そして会社員マインドからして羨ましくなるのは、会社員での抜擢は直線的で連続性のあるものだとみなされがちで、つまりアイドルでいうと選抜落ちや序列下げ(フロント→3列目など)はめちゃくちゃネガティブに見え、もちろんアイドルでもそうなんだけど、乃木坂については「新加入による抜擢だ」というのが本人も周りもわかっているからこそいい感じに経験を積ませることができるんじゃないか、というやつ。「一度上げた人をずっと下げられない(下げたらその人の会社員人生に傷がついてしまうから)」という日本会社員の仕組みが世の中を硬直化させているところは確実にあるよね。でもやっぱりレジェンドと一緒に仕事をした経験が人を作るってこと…あるじゃん?

 

乃木坂46齋藤飛鳥の卒業により、名実ともに世代が交代された。このタイミングで、これから乃木坂を引っ張っていくであろう、梅澤美波山下美月与田祐希、久保史緒里、賀喜遥香、遠藤さくらの顔と名前を完全に認識できたのはうれしい。これから乃木坂を目にしたときに楽しくなる未来をゲットできた。

と同時に、一般的に女性アイドルグループは世代交代ができたことがないと言われている。世代交代が何を意味しているのかは難しいところだが、なんとなくのイメージで言えば、「セールスの回復」や「(いったん途切れた)紅白再出場」などが果たせれば、世代交代に成功したと言っていい、という雰囲気がある。

たとえばモーニング娘。14は、道重さゆみ体制で「全盛期は、一度だけとは限らない」というメチャメチャかっこいいフレーズを引っ提げてやって来た。ミーハーの私はそれを機に注目するようになったけれど、残念ながらあのタイミングで紅白再出場はならなかったし、今のモーニング娘。がかつての知名度や人気をもっているとは客観的に見て言えないだろう。じゃあモー娘。が世代交代できてないのか?と言われると、まだグループが続いていて、新しい期が加入しているわけで、続いていること自体が世代交代(なぜなら続かないと世代を交代できないから)と言いたくもなる。

乃木坂は世代が交代している。とはいえ、一般からの知名度や人気は、もう登り坂の状態ではない。これはモー娘。もだしAKB48も通ってきた道。そんな中でアイドルたちがどう生きていくのか、どういう言葉を語るのか、そういうことに興味を持ちながら、乃木坂をライトに追いかけていくんだろうな〜といまは思っている。