アオヤギさんたら読まずに食べた

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14日目 アテネで3万歩

早朝アテネ空港に到着。なお「アテネ」というのはめっちゃ日本語読みで、「エィセン」みたいな感じで喋らないと全く通じない。入国審査は多少並んだが、まあ耐えられる範囲内で完了。今回の旅は全て手荷物を機内持ち込みしているので、荷物受け取りでは困らない。Vodafone GRのSIMを買って切り替える(ちなみにこのSIMはめちゃくちゃ迷惑電話がかかってきて困った。この番号が代々いろいろなところで使われ、いろいろなところの名簿に載り、私のスマホを鳴らしているのだと思った)。
空港からアテネの市街地までタクシーで行ってしまう。ウクライナ情勢の関係でギリシャの物価は急速に上がっているらしく、空港からアテネ市街地まで45ユーロくらいだった。これまでEGP-円の換金掛け算をしていたところ、ユーロ-円の掛け算、つまり150円くらいを掛けていくことになり、気が重くなる。え~ん(円だけにね!)30-40分走って45ユーロ、まあ妥当だと思うのだが、エジプトのタクシー料金に慣らされていた身にはつらい。そして肌寒い。

朝7時半ごろにホテルに到着。パルテノン神殿周辺に歩いていけるエリア、アテネ中央市場広場付近に2泊とった。なおギリシャからは旅行計画のオーナーが夫にスイッチするため、私は旅のリーダーから「イエッサー!」と従う側にクラスチェンジ。チェックイン時間は15時で、ダメもとで荷物預かってもらえないか…と尋ねたら、なんと部屋に通してもらえた。神対応~!!
荷物をハフーと下ろす。そのまま寝てしまいたいのはやまやまだったが、パルテノン神殿は朝一が一番混まないということで、気合を入れて出かける。

アテネ中央市

ホテルの廊下

窓に貼ってあるカラーフィルムが特徴的なホテルでした


パルテノン神殿アクロポリス(意味は「小高い丘」)というエリアの一番高いところに位置している。つまりパルテノン神殿に行くには、ゆるやか~な坂道をずっと上っていく必要がある。寝ていない身体には相当きつい。が、登らないとたどり着けない。電子チケットが普及していて、多くの人が前売りを買っていたようだが、我々はないので窓口で買う。パルテノン神殿、都市遺跡など、数箇所を周れるチケットで35ユーロくらい。
パルテノン神殿は数十年にわたる復興プロジェクトの中にあり、十年ほど前からクレーンがどーん!と見えるようになっている(らしい)。そのためGoogleマップの口コミなどを見ると「重機が見えなければ最高なのに」というのが複数個ある。しかしたぶん見立てでは、この復興作業が終わって重機がなくなるのと、我々が寿命を迎えるのどっちが先かな~という感じもしていて、重機は無視して見に行ったほうがよさそう。

パルテノン神殿(復興作業のすがた)

クレーン

クレーンや足場があまり写り込まない角度もある


この象徴的な神殿は、歴史的には支配者に振り回されている。キリスト教の聖堂になり、イスラム教のモスクになり、その中で修復作業が行われていて、在りし日の姿を相当残していたという。しかし1687年の戦争で火薬庫として使われ、ヴェネチア軍によって攻撃を食らい大破。今のパルテノン神殿の姿は、在りし日の記録を見ながら建て直しているというものだ。彫刻などはほとんどが再現(言ってしまえばレプリカ)。そのため、正直な気持ちでいうと、エジプトで出会った巨大な建造物のほうによりアガる気持ちがあった。
エジプトにせよギリシャにせよ、素晴らしい文明が栄えたあと、国の力が弱くなると、新しい支配者によって前の文化が打ち壊されたり、権威を失ってほかの建築物の材料にされてしまったり、違う宗教や用途で箱物として利用されたりする。そして軍事利用されたうえで負ければ、軍の拠点として破壊される。こんな美しいものを建てた人の気持ちと、こんな美しいものを壊してしまえる人の気持ちに対して、複雑な気持ちがふくらむ。そしてそういう背景のものに対して、「重機が見えなければ」という文句をつけてしまうことに対しても複雑な気持ちになる。そもそも爆破されていなければ………金閣も燃えなければ…………。

ギリシャの国旗が掲げてあった

ネコチャン

劇場


さくっと降りてしまうのも離れがたくて、ちょっとぼーっとしたあと、坂を下って美術館に。美術館内のカフェで、ギリシャで初めての朝食をとる。グリークコーヒーとモーニングっぽいやつ。グリークコーヒーは「ギリシャの伝統的なコーヒー」と書いてあるから頼んでみたが、もう一回飲みたい味ではなかった(めっちゃ濃くて苦いコーヒーをいっぱい甘くして飲むタイプの飲料)。ごはんは普通においしい。価格はあわせて10ユーロくらい。もうギリシャの物価は体感日本とほとんど変わらない。ギリシャのインフレと円安をひしひしと感じる。
ギリシャ神話をググりながら展示物を見ていった。地元の小学生が団体で見学をしていてうらやましい。

アクロポリス美術館

ヘラクレスの尻

インターネットを感じた

グリークコーヒー。うーん



疲れたのでいったんホテルに戻り、お昼寝を決め込む。本日初めての横になれる時間。幸せ。1時間半くらいの爆睡でだいぶ体力が回復した。ちょっと薄汚れたパーカーや下着や靴下などを石鹸でじゃぶじゃぶ洗い、室内に干しておく。
再度外出! ややスタンプラリー的に、アテネ市内の史跡をどんどん見ていく。ちょっと公園っぽくて楽しい。しかしめちゃくちゃ歩くため、どんどん疲れていく。夫は具合の悪さからかえってハイテンションになってしまい、どこまででも歩いていけるモードになってしまった。3万歩近くになり、さすがに疲れてギブアップ。

ギリシャの甘いものはほんとに好き

とにかく街を歩いた

ネコチャン

カメチャン

日がだんだん傾いてきたシンタグマ広場


夕飯はギリシャ料理レストラン、いわゆるタベルナで。エジプトではあんまり酒を飲まなかったので、グリークビアを飲んで、いっぱいサラダを食べ、ムール貝を山程食べ、HPを一気に回復させた。

酒〜!

貝〜!



翌日も朝早くから動くのでさくっと就寝。

 

夫の感想。
「普通にめっちゃ体調が悪かった………けど、街角のフローズンヨーグルトとスムージーを飲んだら劇的に回復した。旅行中もっともうまかったもののひとつかもしれない。アテネで有名なのはアクロポリスなんだけど、実は古代アゴラとか、広大な遺跡のほうが僕は面白かった。地味に見えるような遺跡が散策してみると面白い。この感覚は奈良の飛鳥にめちゃくちゃ似ている……。エジプトと違うのは、どの遺跡にも緑が見えることで、天気がよかったことも相まって空の広い空間と遺跡がすごく過ごしていて気持ちよかったですね。この日めっちゃ歩いたんだよな…体調悪い日にこんなに歩いたのおかしくない…? アテネは1日で周れるから日本人好みだと思いましたね」
そういえばそうだった。冷え切ったカイロ空港で無理くり過ごした夫は完全に風邪を引いていた。なお私はこのあと夫から風邪を引き継いでけっこうたいへんでした。