アオヤギさんたら読まずに食べた

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12日目 アブシンベル神殿ツアー、そして列車でルクソールへ

時間通りにツアーのドライバーがホテルに迎えに来て、アブシンベル神殿に出発。ラムセス2世(FGOのユーザーにとってはオジマンディアスの名前のほうが馴染みがあるはず)の作ったデケ~~~神殿で、世界遺産のはじまりとしても知られている。

アスワンからアブシンベル神殿までは車で3~4時間。早起きして眠いので道中寝たり起きたり。途中のトイレ休憩地点で朝焼けを見る。とてもきれい。そして朝日は目にめちゃくちゃしみる。

休憩地点で朝日を見る(目がしょぼしょぼでめっちゃ刺さる)

売店でかわいがられていた猫

うろついていた猫



大規模ツアーよりも早い時間での出発・アブシンベル神殿着なので、人が少なく観光しやすい。日差しと暑さは朝の段階でも強烈で、これからどんどん強まっていくだろなと予想された。観光時間はおよそ2時間。

アブシンベル神殿、でか!!!!!!! あまりにもでかいと人は語彙力を失う。

アブシンベル神殿

こういう立派な壁画を見てつい股間に目がいってしまう己がかなしい

アヌビスチャンス

ナイルに死す(ナイル殺人事件)ではこのアブシンベル神殿が出てくる(最新の映画ではロケができずオールCGだったようだが)。というわけで記念撮影(Tシャツはハヤカワのやつ)


およそ2時間たっぷり見て帰路へ。移動時間のほうが長いが、来ることができてよかった。

なおツアーの同乗者に日本の人がいて、その人が乗り合わせた他の人と(英語で)おしゃべりしているのが耳に入ってきたので聞いてしまった。その人は日本で会社員をやっていたが、日本の労働環境はterribleで、その結果お金を貯めて海外を旅するようになったらしい。

ちょっとくらい海外を旅したくらいで日本についてあれこれ言いたくなる自分のことが好きではないが、その人の話を聞いて「わかるなあ」と思ったところがあった。治安も清潔さも歩いていての安全度も食べ物の質もとても高いのに、幸福ではない人の話が多い。エジプトと比べて幸福な人間の数が少ないとは決して思わない、とはいえ日本で暮らしていて感じるどんよりした感じはとても不思議だ。土地が狭くて湿気が多いのがよくないのかもしれない…。

 

帰り道もびゅんびゅん飛ばして、13時頃アスワンの市街地へ。列車の出発まで2時間ほどあったので、夫がインターネットから見つけ出したアスワンの植物園(庭?)へ、ナイル川を船で渡っていく。ナイル川クルーズもせーのでやってしまおうという魂胆。

エジプトでは南にいけばいくほど降水量が少ないので、植物園というのはめちゃくちゃ贅沢なしろもの。ガイドブックなどには乗っていなかったんだけど、ゆったりしていていい場所だった。通路にワニと少年が落ちており、「触る?」と聞かれる(おそらく触った場合はチップを払うシステム)。ワニは触らない。

船で小島へ

エジプトで植物園はレア

植物園でかわいがられている犬

アスワンはナイル川の上流のほう。のどかな雰囲気がある(この船は10ユーロくらいだったような…)

ここでも記念撮影。ナイルに死してる


軽く昼食でもとるかあと思ったのだがトラブル発生。ラマダンなので、昼は飲食店がほとんど開いていない。あわててホテル内のカフェでサンドイッチを頼んだが、待てど暮せど出てこず、どんどん列車の時間が迫る。夫が一生懸命「あとどれくらいかな!?」とホテルの人に聞いてくれ、「今作っている」「今詰めている」などの段階を経て、「もう諦めてお金だけ払って出よう!」と決断したその瞬間に出てきた。神がかったタイミング…。お礼を言いダッシュで駅へ。

列車の出発時間5分前に駅に到着。チケットを見せると、駅の人も困惑気味。基本的にアラビア語を読むから、外国人観光客用に英語を記載しているチケットが読みにくいようだ。それでも「こっちだ!!」と案内してくれて無事に乗車。ここでもまたアスワンの人の優しさに感謝…(してチップを払った。最初遠慮されたのにもまた驚いた)そしてほぼ定刻で発車した。間に合ってマジでよかった~。

 

乗車時間はおよそ3時間くらい。その間に読むのは「母という呪縛 娘という牢獄」。これも前日の「ある行旅死亡人の物語」と同じく、新聞記者が取材を通じて作り上げたノンフィクション。娘を医者にするべく9浪させた母と、その果てに母を殺してしまった娘に関する実話である。本当にしんどい話。そしてこのしんどい現実の中で一番大きな謎である「なぜ母はそうなってしまったのか?」が一生判明されないであろうことが悲しい。人が死んでしまうというのは、その人が抱えこんでいたものが消えてしまうということなんだろう。

 

 

ほぼ遅れずにルクソールに到着。よかった。なおカイロ・ルクソール・アスワンをつないでいるこの路線は、1年に1~2回ほど脱線事故を起こし、そのたび人が亡くなっている。エジプト国鉄の設備は老朽化が進んでいるのだそう。調べたら今年すでに脱線事故が起きていて、母姉からは「あんまりおすすめできない…」と言われていた。そういうのもあって無事についてほっと一息。

ルクソール駅着!

ルクソールはカイロとアスワンの中間地点にある街で、ピラミッドに次ぐ大観光地。人の感じは……というと、ここもまたギザとアスワンの真ん中くらいだった。人をそこそこ歩く財布だと思っているが、そこそこ優しさもある、という感じ。

駅からホテルまで約20分、せっかくなので散歩も兼ねて歩いていく(我々は、歩ける距離なら歩く芸人…)。観光地らしい賑わいで、感覚としては浅草的な感じ。馬車がめちゃくちゃ走っている。馬車でルクソールを一周する観光でも知られているようだ。

ルクソールのホテルはソネスタセントジョージホテル。団体客に対応できそうなでかいホテルで、雰囲気も地方の団体用ホテルと似ている(ビジネスホテルと高級ホテルの中間くらいの感じ。伝わってほしい)。ちょうど20人くらいの中国人団体ツアー客のチェックインと時間がかぶって「おお~」となった。中国人観光客はエジプトでも多く、町中を歩いているとまず「ニーハオ!」と声掛けされる。

部屋のお風呂がバスタブ付きでうれしい! 今回の旅でこれがおそらく最後のバスタブ。

本日のホテル

夕飯は、2軒隣のホテル内のレストランを利用することに。夫はエジプトに来てからあんまりエジプト料理を食べていない(フレッシュジュースは飲みまくっているが)ので、ベタにエジプト料理を食べよう!!とアラカルトで食べた。エジプトの料理は手がかかっていないほどおいしい傾向があるように思う。パン、生野菜、煮込み、肉を焼いたものなどがうまい。ここのレストランでもフレッシュジュースを頼み、やはりめちゃくちゃおいしかった。

隣のホテルのレストラン

 

ホテルに戻り、ホテル内を散策。

かなりナイル川の近くまで出れるテラスがあり、そこのカウチでごろごろ。寒くなってきたので部屋に戻り、お風呂に入り、「母という呪縛 娘という牢獄」を暗い気持ちで読みきった。

 

 

夫の感想。

「暑さよりも日差しの強さでこんなにダメージを受けるものかと知った…。アブシンベルは見た目以上に中が入り組んでいて面白い。サイズ感で言うとピラミッドと同様、目の当たりにすると現実感がない。ここまで大きいとちょっと作り物っぽくも見える。紀元前の…?遺跡なの…?というのがぴんとこない。でも中の壁画とかを見ているといろいろなストーリーを見出すことができてとても楽しかった。壁画はずっと見てられたな~。アニメーションっぽいやつも。帰り道に蜃気楼を初めて見れたのもうれしかった。ここまで暑くないと蜃気楼って見れないんだ! あと植物園はめちゃくちゃ気持ちよかった。エジプト、基本的に砂漠のからっからな土地だから、合間にうるおいを挟むのを忘れないのがコツだと思う。あとどうでもいいけどオジマンディアスの宝具ボイスがなんであんなにうるさいのかわかった! 自己顕示欲ということね! どこを見てもラムセス2世! そりゃオジマンの声はうるさくなるよ!」

アブシンベルの帰り道にドライバーさんが車を止めて「イリュージョンシーを見せてやるよ!」となったのだった。本当に砂漠の中に水があるように見えて、蜃気楼…!本当にあったんだ…!となった。