読んでよかった2021年4月
2021年4月に読んで(見て)よかったものを順不同で紹介します。ビジネス系とTL(ティーンズラブ)は「よかった」が別軸なので下の方で別にまとめております。
「自分ごとの政治学 学びのきほん」
「自分ごとの政治学」(NHK出版学びのきほん)、「リベラル、保守、左派・右派」といった言葉をもともとの政治学的な定義から始めて現在の使われ方に触れつつ、リベラル⇔パターナル、大きな政府⇔小さな政府という4象限でまとめていて超わかりやすかった! #今日の推し本https://t.co/0ZjiMAECOH
— 青柳美帆子 (@ao8l22) 2021年4月13日
NHK出版の 「学びのきほん」シリーズは、ちょいちょいセールをやっているので興味があるのが安くなっていると買って、思い出したように読んでいるのですがかなりいいですね。ド専門の方から見るともしかしたらセンシティブなこともあるかもしれない(ちょっと自分ではわからない…)のですが、入門者・初学者からすると非常にとっつきやすいです。
この本はフランス革命の際の右派⇔左派、そしてそこからくる保守⇔リベラルという区分けだといまの政治のことをうまく説明できないため、父権的(パターナル)⇔リベラルという軸を作って説明していてすごくしっくりきました。
「一生忘れない怖い話の語り方 すぐ話せる『実話怪談』入門」
怖い話の「語り方」という、ものすごい狭いところに向けられた本で、主に実話怪談のプレイヤーに向けられた本です。そもそも「実話怪談」にある程度レギュレーションがあるってみなさん知っていましたか? 私は全然知りませんでした…。
実話怪談は「実話であることがちゃんと示せる(取材対象者が存在している)」ということが非常に重要なジャンルなんだそうです。その際の取材の仕方や編集の仕方、ホラー小説と語りの怪談の違いなど知らない世界で興味深かったです。
この本を踏まえたツイートがこちら。
小さい頃の地域コミュニティの話聞くのすごく面白く、私が歴代で一番好きなのは「A小学校とB小学校で抗争が起き、中間くらいの場所で営んでいた駄菓子屋のババアが両陣営にBB弾と情報を売る“商人”をやっていた」という話です。そのババアすごい楽しかったと思う
— 青柳美帆子 (@ao8l22) 2021年4月17日
こないだ聞いて大興奮してしまったのは「住んでいた団地に『水あめおじさん』がいて、子どもだけで行くと中から白タンクトップを着たおじさんが出てきて水あめをくれる。だから自分は今でも水あめが好き」という話でした
— 青柳美帆子 (@ao8l22) 2021年4月17日
これは怪談ではないんですが、いわゆる都市伝説的な話とか、テレビで見た話ではなく、(ツイートでは伏せましたが)具体的な地名やその人の好き嫌いとつながっているエピソードが聞いているときに「実話っぽいな~」と感じた記憶があり、ツイートでもそのにおいがでるといいな…と思っていました。
ちなみに駄菓子屋のババアの話は私の地元トークをしているときに「昔同じ市に住んでたんだけど…」から始まった話で、小学校名がマジで地元で「リアリティ!」としびれていました。水あめおじさんの話はこのツイートが伸びた結果DMで「○○の地域ですか?」と連絡をくれた方がいて(合ってた)、結果として水あめおじさんの部屋番号までわかりました(インターネット、たまにステキだよな…)。
「エジプト十字架の秘密」
私にはさまざまな罪がありますが、その中の一つは「ミス研にいたのにクイーン全然読んでない(後期クイーン問題の話だけわかる)」というもので、こないだ「第八の日」読んでクイーン未読を卒業、そしてエジプト十字架の秘密でなんと二冊目を読みました。クイーン面白くないですか?(十年前に読んどけばよかったナ…)
ちなみに4月からミステリ有識者にミステリ初心者&初級者がミステリを教えてもらう読書会をスタートしていて、「エジプト十字架の秘密」はその課題本だったのでした。「エジプト十字架の秘密」「孤島パズル」「都市伝説パズル」の三冊。孤島パズルは何度読んでもメチャクチャ面白いし謎解きシーンの江神さんがかっこよすぎる。ちなみに読書会では「探偵と作者の名前が一緒でびっくりしました」という感想が出て、「新鮮な感想だ!」とテンションが上がりました。
「ショーシャンクの空に」
ド名作やないか……。
NHK BS「さようなら全てのエヴァンゲリオン」
「プロフェッショナル 仕事の流儀」の庵野秀明回を再編集し100分に拡大したスペシャル版。「プロフェッショナル」の型で作った前のバージョンと比べてこちらはナレーションを排していて非常に良かったです。
メタ言及的に入れてありましたが、全てのドキュメンタリーというのはフィクションなんですよね。演出意図のもとに切り貼りされていて、膨大な素材の中から文脈を構成している。プロフェッショナル版は「一筋縄ではいかない男・庵野秀明に振り回され支えるたくさんの人たち(NHKスタッフも含め)」というストーリーがつづられていて、100分版はもう少し「周囲の人たちが見る庵野秀明」という感じがあってこちらのほうが好みでした。
庵野監督は編集のうまさも飛びぬけている人なので、2つのバージョンがあることでメタ的に「映像の編集とは」というメッセージも勝手に感じられてよかった。しかし鈴木敏夫・宮崎駿のサービス精神はすごいですね。絶対に使いたくなるシーン(取れ高がすごい!と感じられるシーン)を自分で演出できてしまう人たち。
ビジネス:「一生仕事で困らない企画のメモ技」
無限プチプチを企画した人の企画本。「自分がほしい」と思ったものをメモしていって、それを「元ネタ」のようにして掛け合わせて企画を作るというものです(詳細は読むとめちゃくちゃていねいに書いてあるのでぜひ。アンリミ入ってます)。わりと以前行ったショートショート講座にも近い操作で共通するものを感じました。
ティーンズラブ:「黒弁護士の痴情 世界でいちばん重い純愛」
めちゃくちゃ絵がエッチでいいと同時に、弁護士ものなんですが弁護士事務所の描写が絶妙に詳しくて、そういうディテールにぐっときてしまう……単話1話とかがアンリミに入ってるのでお試しで読んでみて好みだったらオススメです。