アオヤギさんたら読まずに食べた

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「むこうぶち」2巻全話レビュー かわいそうな男・日蔭

むこうぶちの全話レビューやってみようと思うんすよね…」と先輩に言ったら「俺はいいと思うけど誰が読むかな?」と言われました。そこは「俺はいいと思うからほかの誰が読まなくても俺が読むよ」と言ってほしかった。

 

 

9話 氷の男・2

【打ってる人】日蔭、カイ、おじさん2人

【一言で言うと】カイ、日蔭の麻雀を見切り反撃開始

【あらすじ】ホテルでのルーティーンを終え、カイと同卓するために雀荘に向かう日蔭。様子見の一局を終えたのち、ビンタ(25000点を基準に払いが2倍になる怖いやつ。むこうぶちではよく出てくる)を提案する。日蔭は牌効率や山読みも的確な現代的な麻雀スキルの持ち主で強い打ち手だが、カイは日蔭のアガリを見て攻撃的な笑顔を浮かべる。近くの火事をバックにカイは反撃を開始する。

10話 氷の男・3

【打ってる人】日蔭、カイ、おじさん2人

【一言で言うと】日蔭、カイに敗れて全てを失う

【あらすじ】日蔭の山読みスキルを逆手に取り、カイは一般的ではない切り順を行うことで、日蔭の必要牌を手にため込む手作りを行う。読み切られトバされた日蔭は激高し、冷静沈着な「氷の男」ではなくなる。以降、日蔭はビンタでカイに負け続け、全てをむしり取られるのだった。近所の火事は日蔭が宿泊ルーティーンをとっていたホテルで、全焼したホテルの前で日蔭は「失った… 何もかも…!」と慟哭する。

【感想】何度読んでも日蔭がかわいそう。ホテルまで燃えなくてもいいじゃないか……(そんなことはないんだけどカイが念力で放火したようにも思えてちょっと面白い)。

11話 雀荘殺し・1

【打ってる人】茨城なまりの男たち、おじさん

【一言で言うと】高レート雀荘を荒らす男たちを止めるため、安永がマンション雀荘オーナーに頼み込まれる

【あらすじ】高レートマンション麻雀は違法であり、警察によるガサ入れの対象となる。ここ最近マンション雀荘のオーナーたちを困らせていたのが「茨城なまりの男たち」。なんらかの通し・符丁(ローズ)で列(コンビ)を組んで勝ちまくり、出禁にすると警察にタレコミをして摘発させる。なんとかして追い出したいと雀荘のオーナーが頼み込んだのが安永。安永はカイをぶつけることを思いつく。

12話 雀荘殺し・2

【打ってる人】カイ、安永、上島、おじさん/カイ、水戸(茨城なまりの男)、赤塚(茨城なまりの男)、郷(困ってる雀荘のオーナー側の人)

【一言で言うと】カイ、茨城なまりの男たちのローズを看破する

【あらすじ】赤坂の雀荘・東空紅でカイを見つけ出す安永。卓を囲んでいるときにしか話せないため、同卓するものの、どう切り出せばいいかを悩んでいるうちにヌルい麻雀を打ってしまう。カイは「いったい何をやってる? 喰い殺していいんだな?」とおこ。強い狩場を求めるカイの行動原理を感じた安永は、雑談のていで水戸の男たちの情報をカイに伝え、行くように仕向ける。後日、安永の思惑通りにやってくるカイ。茨城の男たち(水戸と赤塚)とカイとで卓が立つ。安永は水戸と赤塚の言葉を使ったローズを見抜くが、実はそれはブラフのローズだった。カイはローズを読み切り、あえて当たり牌を切り出すことで、ローズを見抜いたことを(安永と読者に)示す。

【感想】カイ、基本「ですます」なのでちょっと珍しいセリフ。安永の麻雀のレベルを知っているので叱咤激励なのだろうか(?)

13話 雀荘殺し・3

【打ってる人】カイ、水戸、赤塚、郷

【一言で言うと】安永もローズを見抜く

【あらすじ】カイが見切ったローズを見抜けない安永。局を重ねることでようやく、茨城の男たちはローズを2種類使っており、言葉のローズと身体を使ったローズを使い分けていることに気付く。カイはビンタを提案し、相手のローズを逆手に取った待ちで狩りつくす。

【感想】カイ、けっこう安永のこと好きだと思うんだよね…。

14話 縛られる男・1

【打ってる人】カイ、勝田、水戸、赤塚

【一言で言うと】「茨城の男」グループのリーダー格・勝田が登場

【あらすじ】水戸と赤塚の敗北を知り、負け分を取り戻すため、茨城のより強い雀ゴロ・勝田がカイに勝負を挑む。安永を経由してカイにコンタクトを取り、カイ、勝田、水戸、赤塚の卓が立った(安永はマンション雀荘のオーナーとともに見学)。懲りずにローズを披露しようとする水戸と赤塚に勝田はキレ、“正々堂々と”トップをとった…ように見える。カイは負け分よりも多すぎる3000万を卓に出し、「その金で本当の勝負をしましょう」と挑発する。つまりさきほどの局は、安永にはわからなかったが、なんらかのイカサマが行われていたようで……!?

【感想】安永がキレイめのお姉さんの家に転がり込んでいるシーンが生々しくてよい。あれくらいの体格のおじさんの性のにおいを描くのがとてもお上手。

15話 縛られる男・2

【打ってる人】カイ、勝田、水戸、赤塚

【一言で言うと】安永、「茨城の男」事件の真相を見破る

【あらすじ】カイの挑発を受けた勝田は、「本当の勝負」をするという話に乗り、イカサマを使わずに打つ。実は雀荘のオーナーが茨城の男たちとグル。一連の騒動の仕掛人で、競合店を叩くために同郷の雀ゴロを雇って雀荘を荒らし、時には密告もしていたことを安永は見抜く。勝田は、3000万の“降って湧いた”ような金を前に麻雀フォームが乱れ、さらにオーナーの通しもシカトしているため、じわじわと負けていく。カイは出した3000万と、さらにマイナス1000円分勝ち、「ここからは自腹で」と言う。勝田は続行不可能を宣言し、深い敗北感を味わう。

16話 深海

【打ってる人】巫、おじさん3人

【一言で言うと】巫、初登場

【あらすじ】地下テナントの闇カジノで注目を浴びる車いすの女性ディーラー「キラークイーン」こと巫(かんなぎ)。ディーラーの腕前はもちろん、麻雀の腕も立ち、同卓した男たちから「カイのような女」と呼ばれることがあることから、巫はカイに興味を抱いていた。安永がカイと巫を引き合わせる。

【感想】カイと打ちたければ安永を通しましょう!みたいになってておもろい。完全にマネージャー。

 

巻末の安藤満のコラムで、高レート麻雀の世界で活躍していた雀士として前原プロの話がフツーに出てきてよい。そう思うと麻雀というのは選手の息が長いゲームですね。