アオヤギさんたら読まずに食べた

暮らし、エンタメ、金、自己啓発、ときどき旅

読んでよかった2021年3月

2021年3月に読んで(見て)よかったものを順不同で紹介します。ビジネス系とTL(ティーンズラブ)は全然「よかった」が別軸なので下の方で別にまとめております。

 

暇と退屈の倫理学

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)

 

  

 

 

 

 「暇・退屈」と「労働」の関係を書いた名著で、ずっと前から積んでいたけど「今だ!!!」と思って読んだらスゲ~面白かったです。人々が労働とどう付き合ってきたのか(あるいは労働によってどう管理されるようになっていったのか)ということがどんどんわかり、結果として「花束みたいな恋をした」のこともよくわかるようになります……。

ちなみに冒頭近くにある「定住と退屈」の話は人間が狩猟民族から今にいたるまでどう変わってきたかという話をしていますが、「スマホ脳」も似たような話からはじまるので勝手に相補性を感じて楽しかったです。

 

スマホ脳(新潮新書)

スマホ脳(新潮新書)

 

 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

 

 

 

 オードリー若林のエッセイは「ナナメの夕暮れ」「社会人大学人見知り学部卒業見込」も読んでいるのですが、ウソをつかない(ように見える)のがいいですよね。冒頭で言っていたことを本の後ろ側で否定するようになっている(書き手の変化を隠さない)。なんというか「自分が作ったキャラクターを演じない」というか。

文庫になる際に「モンゴル」「アイスランド」「コロナ後の東京」の3編が加筆されて、若林が4つの旅を通して何を考えようとしていたのかというような大きな構図も見えてきて、小説っぽさも感じました。もういろいろな人が「小説書きませんか?」と声をかけまくっていそう。

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中

 

 

 「A子さんの恋人」と対になっているところがあるよ…と友人たちから言われていて、「A子さんの恋人」が好きすぎるゆえに読めていなかったのですが、読んでみたらすごくよかった。1巻から3巻にかけて、世界が近藤聡乃にネタを与えているというか、近藤聡乃が生きる道が世界になっていくというか、世界を見る目は変わっていないのに世界がどんどん変わっていくライブ感みたいなものを感じる作品です。

ちなみに「ユリイカ」の近藤聡乃特集もすごくよかった。「A子さんの恋人」についての藤本由香里さんの論考を読んで「……これはシンエヴァなのでは!?(円環を打ち破るのは第三者…!!)」と勝手に相補性を感じていた。

 

シン・エヴァンゲリオン劇場版

給料日ラジオでも話したのですが、初見時は「こんなに完璧に終わらせなくていいじゃん……」となんだか悲しい気持ちになってしまったのでした。が、時間がたつにつれてしみじみ好きになってきている…。

私にとってエヴァンゲリオンという作品は、メッセージのために設定とキャラクターが作られ動いていくものだなという印象があって、結局マリが何者なのか…と考えたときに、これは我々観客なのではないか?と思ったのでした。シンジくんを救ってあげたい、エヴァを楽しく動かしたい、アスカと仲良くなりたい、綾波の心を動かしたい。マリを「観客の願い」と考えるのはちょっと自分たちをキレイに言いすぎ感があるんですがまあ。

あわせてNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」の庵野秀明回と、安野モヨコの展覧会図録「ANNORMAL」、安野モヨコの有料noteもよかった~。林原めぐみの「林原めぐみのぜんぶキャラから教わった 今を生き抜く力」も今のタイミングで読めてよかった。

 

 「プロフェッショナル」もわりと筋書きは「天才と彼を支える人たち」というラインを演出していたなと思うのですが、「庵野に振り回される人々」というのは実はそれぞれ天才なのであって、…といろいろもやもや考えてしまいますが、安野モヨコは「見せたい自分」の演出が抜群にうまく(「美人画報」のときなんて本当に本当にすごかった)、うますぎるくらいなのですが、今は見てほしいストーリーがこっちなんだな、と受け止めたいです。

暮しのファシズム

この一年間ほど人間が「暮らし」について考えたことはなかったと思う。住環境をよくすることが生きやすさにもろに反映される生活の中で、ちょっとでも便利にしようと思って暮らしグッズや仕事グッズを買ったりするわけですよ。でもそういう「よくする」行動をしていると、自分が望んでそれをしている気がしてしまうけれど、社会のツケを個人が払わされているという怒りを忘れてはいけないよなといつも思っていて、そんな怒りを呼び起こしてくれる本でした。

 

さてここからはややジャンル別で。

ビジネス:世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている驚くほどシンプルで一生使える投資の極意

 金融資産についての話は「そうよね~」という感じだったんですが、人的資産とからめて書いてあるのがすごくわかりやすくて納得。アンリミに入ってます。

ティーンズラブ漫画:木更津くんの××が見たい(単行本版)

 

2巻、「えっ……マジで!?」という展開が待っていました。最近は女性漫画もTL漫画も「アラサーの働き方」描写がどんどんうまくなっていっているのですが、「木更津くん」はエッチ描写もちゃんと盛り込みながらアラサー女性の働き方をしっかり描くぞ!!という作者の魂を感じて素晴らしいです。

ティーンズラブ小説:ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない 魔女は愛弟子の熱い口づけでとける

 最近は「ティーンズラブ小説もいいな…」とちまちま読んでいるのですが(ムーンライトノベルズ出身の作家さんがけっこう書いてる)、クレイン作品はどれもいいです。「ヤンデレ魔法使い~」は冒頭と中盤で男女の年齢が逆転する展開になっていて、「年上のお姉さんへの少年の恋心」から「大人の男の執着」まで1冊1ヒロイン1ヒーローで楽しめるという欲張りセットになっています!

 

簿記3級ってどうなの?の現時点での所感

前回「お金のことを考えたくない人はFP3級を勉強するといい」ということを書いたのですが、同じくお金関係の資格っぽい「簿記3級」はどうなのか?というのもおまけで書いておきたいと思います。

結論から書くと「基本的に勉強しなくていい。でも勉強リハビリとしてはいい」です。

ao8l22.hatenablog.com

 

簿記3級とは日本商工会議所によると「業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき『必須の基本知識』として、多くの企業から評価される資格。基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル」といいます。ただFP3級と同様、簿記3級も実務レベルではありません。2級より上が実務レベルかな。

マネーリテラシー系のYouTubeだとどちらの受験もオススメされたりしていますが、個人的には「フリーランスのライターはFP3級を勉強するべき」と強く思いますが、「フリーランスのライターは簿記3級を勉強するべき」とは思いません(FP3級の合格レベルまで知識をつければ確定申告ができるが、簿記3級合格レベルまで知識をつけても確定申告はできないため/物を仕入れる系のフリーランスは簿記知識があったほうがいいかも…)。いまは基本的にfreeeなどの会計ソフトなどを使って処理ができるので、簿記の知識がなくても帳簿をつけられます。

簿記3級を勉強すると「帳簿、記帳、そういうのがあるのか」「決算とかいうときに何が行われているのか」「貸借対照表ってこれか~」というのがわかって、まあ無駄ではないんですが、実際に勉強で行う作業は左と右の帳尻をあわせるパズルです。ビジネス系でいい本がいろいろ出ているので、「社会がわかりたい!」「企業のお金のことがわかりたい!」というビジネス教養を求めている場合はそちらを読んだほうがいい気もします。

 

 

でもいいところもあるんですよ

簿記はこれまで年に3回の試験が行われていました。ですがコロナの影響でCBT試験(テストセンターでネット試験を受験する方法)が実施されるようになり、今後は2~3級はCBT試験の出題方式のほうにそろえていくようです。

簿記3級のCBT試験はほぼ毎日受けることができます。ちなみに私は18歳のときに「よし、簿記を受けるぞ!」と思って7割くらい勉強も終えたんですが、適切なタイミングで受験申し込みをすることができずに取得ならずでした。CBT試験が実施されなかったらずっと簿記3級合格できてなかった可能性ある。

FP3級のときにも書いたのですが、勉強習慣がもともとない人は「勉強して試験を受ける」ではなく、「試験を申し込んでそこに向けて勉強する」のほうが結果としてたくさん勉強することになると思います。自分で自分に締め切りを設定するということですね。簿記3級は1カ月後くらいの空いてる時間に申し込みをすればいいのでぴったりで手軽です。受験料も3000円くらいなのでそんなに高くない。

会社員になってから勉強習慣が完全に途絶えている…という人も少なくないと思うのですが(エンジニアの人とかはそんなこともなさそうだが)、簿記3級の勉強は簡単な仕訳からスタートして最後に仕訳の知識を全部使ってちょっと歯ごたえのある決算仕上げって感じなので、非常に勉強リハビリとしていいです。知らん単語が多いのも「勉強してる~!」って自己肯定感を得られる。

 

勉強法

一応勉強法も書いておきます。使ったテキストは滝澤ななみさんの「スッキリわかる 日商簿記3級」です。実際は18歳のときに「やるぞ!」と思って購入したテキストがあったのでそれを使いました。簿記はそんなに情報が更新されていないので、古本屋とかで売っているちょっと前の版のテキストを使ってもよさそうです。

↓の本はネット試験(CBT試験)に対応しているのをウリにしているようです。 しかし安いな~(受験者数が安定して多いからこの安さにできるんだろうな)。

スッキリわかる 日商簿記3級 第12版 [テキスト&問題集] (スッキリわかるシリーズ)
 

ネット試験対応と書いてないテキストも使って大丈夫ですが、本番は「試験時間が1時間」「大問が5問じゃなくてだいたい3問」ということをなんとなく意識しておくとよさそうです。私はそれを知らずに受けにいって「時間ないじゃん!」と非常に焦りました。1時間はけっこうギリギリ。

 

まとめ:簿記3級を合格して得られるもの

・「自分、勉強ちゃんとできるやん」というちょっとした自信

・freeeに入力したときに自動表示される「仕訳」に「フ~ン、わかるわかる、これね」となる

・freeeの入力画面にアレルギー的なものを感じない

お金のことを考えたくない人はFP3級を勉強するといい

タイトルを見た瞬間私の中のインターネットの心が「お金のことを考えたくないって言ってるじゃん!!!」と叫びます。でもマジで一回勉強するともう考えなくてよくなるから!

 

オモコロのPR記事がめっちゃよくて、私はこれまで30年近くを「だらしない派」として過ごしており、これは性格なんだよな…と思っていました。この記事に書いてあるだらしないエピソードをほぼ全部体験しています(最後のエピソード以外)。

 家賃を払い忘れたり年金未納してたり学費がギリギリ足りなくなりそうで青くなったりといった笑い話にしてはいけない経験もあります。

こういうのって自分の性格とか生き方が悪いんだろうな……と思っていたのですが(実際生き方はあまり褒められたものではないのですが)、一回思い立ってFP3級を勉強してみたら、突如いろんなことが“理解(わか)”るようになりました。

 

FP3級を勉強すると、以下のことが腑に落ちて、そのあと考える必要がなくなります。

・給与明細を見て、天引きされているのはなんなのかわかり、会社員という立場ってかなり日本社会で優遇されているな~とわかる

・(副業やフリーランスの場合は)なんで請求金額よりも振込金額が低いのかがわかる(源泉徴収!)

・確定申告はそんな難しくないし、したほうがお得だということがわかる

ふるさと納税iDeCo、NISAが呪文じゃなくなる

・保険というのは「残された家族」のために設計されているので、独身の場合は契約しなくてもだいたい大丈夫

・(これはFP3級関係ないけど)スマホの契約を見直すとよさそうということがわかる

 

 

世の中のマネーリテラシー本やYouTube(家計管理はちょっと別ですが)は、ほぼFP3級レベルのことについてまとめてあります。

 

FPとは

「FP」というのはファイナンシャルプランナーのこと。顧客のお金の相談に乗ります。正しくはファイナンシャル・プランニング技能士で、国家資格です。3級、2級、1級とあり、実務的なレベルは2級からです。

FP3級は基礎的なお金の知識を取得しているということを証明する資格で、これを取ってもFPになれるというレベルの資格ではありません。この資格がストレートになにか実務に役立つとか転職とか就職とかに生きるというわけでは全然ないのですが、この資格に向けて勉強し、合格レベルまで知識を身に着けるというのがかなり人生にとってポジティブです。

私はFPを勉強して「あ、私がお金が苦手だったの、性格じゃなくて知識不足だったわ…」となりました。

 

 

試験の話

FPの試験は年に3回あります。「金融財政事情研究会(きんざい)」と「日本FP協会」の2団体がFP試験を実施していて、試験勉強のやり方は9割変わらないのでなんか雰囲気が好きなほうでいいと思います。午前中に「学科」、午後に「実技」があります。回答はマークシートで、○×か択一問題です。実技とありますがこれもマークシートで、実際の業務の例みたいな感じで問題が出ます。

次は5月に試験があり、申し込みは3月12日くらいからスタートします。タイミングばっちり!

 

勉強の話

いろいろな勉強法やYouTubeもあるんですが、私は紙の教科書をオススメします。お金のことがまとまっている本が家に一冊あるという状況が非常に強いです。動画が合っている人は動画学習でもいいと思います(私はテキストのほうが向いているのと、あと文字のほうが時間の融通がききやすいということでテキストが好きです)。電子書籍は「これってなんだったっけ…」をパラパラ読みづらいのであんまりオススメしません。

私は滝澤ななみさんの「みんなが欲しかった!FPの教科書」(最新版)を買いました(※お金の情報は更新がけっこう多いのでできるだけ最新版を買ったほうがいいです)。ただ、扱っている内容はどの参考書でも変わらないので、本屋に行ってパラパラ見て、なんか雰囲気が好きだな~という本を1冊買うのがオススメです。教科書を複数買う必要は全くありません。

 

みんなが欲しかった! FPの教科書 3級 2020-2021年 (みんなが欲しかった! シリーズ)
 

私はこれに同シリーズの問題集を買って、教科書を読む→その項の確認問題を解く→問題集の対応問題を解く という感じで勉強していました。教科書の確認問題を8割くらい解けるようになるまで回せば合格はできると思います。

なお、初めからといてもいいのですが、ちょっと知識があるところからやると挫折しにくいです。そんなにこだわりがない場合は「タックスプランニング」の項からやるのもよさそうです(どの項にも税金が登場するので)。ちなみに私は相続まわりの勉強がめっちゃ楽しかったです。

 

みんなが欲しかった! FPの問題集 3級 2020-2021年 (みんなが欲しかった! シリーズ)
 

 ちなみに問題集は有料スマホアプリでもいろいろ出ていて、私は問題集を買ったあとに存在に気付いたので、問題集のほうはアプリでもよかったかな~と思いました。この辺は好み。教科書を読むだけだと頭に入らないので、何かしら問題演習があったほうが効率がいいです。

 

教材費と受験料

教科書+問題集で2000~4000円、受験料が学科と実技あわせて6000円くらいなので、あわせて1万円くらい。でもFP3級の資格は期限がない(一度とれば更新しなくてもいい)し、世の中で言われていることへの理解度がぐっと上がるので、飲み会を月に1回減らしてとる価値は十分あると思います。

人生の先輩が「私は勉強したいことがあれば先に試験を入れてしまう。そうしたらそこに向けて勉強するから」と言っていて、自走で勉強できる人以外はやはり試験を入れるシステムがもっとも勉強しやすいだろな……と自分でも痛感しました。なので繰り返しになりますが、ぜひ今年5月の試験チャレンジしてみてください。特に駆け出しフリーランスは会社に守られていない分、お金の知識がすごいパワーを発揮するのでとりわけ推奨です。

 

おまけ

ちなみに家計管理本は横山先生のが非常にわかりやすいです。(アンリミに入ってます)

 

年収200万円からの貯金生活宣言

年収200万円からの貯金生活宣言

 

 100万円~月収6カ月分くらいまで貯金ができたら投資のことを考え始めてもいい感じ。これもアンリミに入っている。

 

 あとこれは私の個人的実感なのですが(統計的ではない)、部屋が荒れている(いわゆる汚部屋の)人はお金のことを考える余裕がない傾向があると思います。特にもともとそんなに部屋が汚くなかったのに一気に荒れている人。仕事の負担や精神の不調は部屋に現れやすいです。

そういう場合はお金のことを考える前に、いったんよく寝て、それから家の中のものを毎日10個捨てるのを1カ月やってみてください(レシート1枚とかを1個換算していいです) 部屋の状態が上向きになり、心身の調子がよくなって余裕が出てきたらお金のことを考えてみてください。机の上がきれいなほうが勉強もしやすい。

元汚部屋住人の仲間として応援しています。励ましがほしいぜ…みたいなのがあったらTwitterのDMとかください(できるときは励ましのお返事をします)