アオヤギさんたら読まずに食べた

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共同生活における家事を分解する

 この増田を読んで、インターネット的ないい話だな…と思いつつ、すげ~小さいところにムムッとなったのでした。

anond.hatelabo.jp

俺はまずてめえの食器を洗い、それから鉄瓶で湯を沸かす。三人分。何回か、「お湯が少ねえよ(多いよ)」のやり取りを経て、数年がかりでおおよその分量がようやくわかったのだ。鉄瓶から蒸気がしゅんしゅん言い始めたあたりで母親食事が終わる。

 ここです。

 この「しゅんしゅん言い始めたあたりで母親の食事が終わる」という表現の「しゅんしゅん」がとてもよく、ノスタルジーを感じさせるいい増田だと思いつつも、「数年がかりでおおよその分量がようやくわかった」というところに、えっマジ?と思ったのでした。

 湯量のいい具合をつかむのに数年がかりかかるの、さすがにかかりすぎでは?

 しかし「かかりすぎでは?」とだけいうのは純然たるクソリプなので、もう少し自分の中での引っ掛かりを考えると、これはけっこう共同生活の家事について重要なポイントを撫でているように思えるのです。

 

なぜ湯量の具合をつかむのに数年かかるのか

 (数年は書き手の“盛り”かなとも思いつつ)書き手は一人分の湯量は問題なく沸かすことができているわけで、ポイントは「作業の一工程だけを任されている」ということと、「適切なフィードバックを受けていない」というところにありそうです。

 共同生活ではなかなか理想的な家事の分担が果たされることは少なく、メインの家事の担い手とサブの担い手という分担になりがちです。そしてこの増田の場合、メインの担い手は「母」です。サブの担い手はメインの担い手が担当しない家事を行ったり、一部を“手伝った”りするわけで、小学生なども「お手伝い」としてこういった家事を担当する中で生活スキルをはぐくんでいくものですが、一部を手伝う場合はいろいろな不具合が発生します。

 つまり、いま担当している作業Aが、もっと大きい家事Xの中でどんな役割を果たしているのか、見通しが立っていないという状態になることがあるのです。

 例えば「靴下をくしゃっとしたまま洗濯機に入れない」というのは、洗濯機の中できちんと洗うためなのですが、「くしゃっとしない!」という指令だけが飛んで、洗濯機をまわすことも洗濯ものを干したり畳んだりすることもないと、「まあくしゃっとしたままでいいや」ということになります。最近自分が料理をする機会が増えたので実感したことでいえば、「野菜を切る」とかも、切り方や大きさによって味や調理時間が変わってくることがあるため、切り方や大きさが指定されているということがわかってきました。

 ここで増田の話に戻ると、増田が「湯を沸かし、人数分の茶をいれる」というところまで担当していれば、3回くらいやっていれば自然と湯量がわかったはず。でもなぜか「湯をわかすだけ」という委託をしているので、謎に数年がかりで湯量をつかむハメになるのです。

 また本当に湯をわかすのをしっかりと委託したい場合は「ちょっと多い/少ない」ではなく、「3人分の茶をいれるには○ミリリットルの水が必要」という数量的なフィードバックをしたほうがよいでしょうね。

 我が家はいま毎朝コーヒーメイカーを使ってコーヒーをいれて飲んでいるのですが、コーヒーの入れ方本を読んで2人分のコーヒーは「豆24グラム、水300ミリ」でいれるということに決定したため、どっちがいれても差が出ません。一方でお茶に関しては(ふたりともあんまりこだわりがないジャンルなのもあって)かなりファジーにいれてます。そうすると出来上がりはばらつきます。

 

共同生活の家事のほうが難しい

 家事スキル、学生時代の一人暮らしではなかなかつかない人もいるよな…という気がしています(学生時代の一人暮らしで家事スキルが付く人は偉い!)。

 一人暮らしで求められる家事スキルと、共同生活で求められる家事スキルって、後者のほうが複雑なんじゃないかな。一人暮らしだと生活が崩壊しようがなんだろうが自分の勝手で、責任も結果も自分が負うのですが、共同生活だと共同生活者との綱引きが発生するように思います。その綱引きによって、暮らしが維持されたり悪化が加速したりするんですね。悪化加速の場合はみんなで落ちてるだけなのでまあいい(いいか?)なんですが、維持されている場合はむしろ大変で、AさんがBさんよりもちょっと頑張っている、だから維持されているけどだからAさんに不満がたまっている、ということがあるあるです。

 その綱引きを少しでも持続可能なものにするために分担などがあるわけですが、増田に戻ると、タスクの途中を分担すると、見通しが立たないので適当になり、最終作業者が巻き取ることになりがちです。つまり理想を言えば分担はまるっと切り分けたほうがよくて、ゴミ出しならゴミをまとめるところとゴミを出すところは分けてはいけないし、買い出しは必要品の把握から担当するべきなんでしょう。

 「名前のない家事」というのは家事の解像度を上げるのに必要な概念ではありましたが、しかしそうした家事タスクを切り分けて担当者をつけていくとむしろ混乱が発生するよな~という懸念もあり。しかし現実は「まるっと委託がしにくいので結果メイン家事担当者の負担が重くなる」みたいなものにもつながりがちで、改めて難しいもんだな~と思いました。

実家自室掃除のススメ(学習机編)

 今度実家に帰ったときにオススメの実家自室掃除、机編です。

 

 前回はこちら。服を捨てよという話だけをしてます。

ao8l22.hatenablog.com

 

 服を全て捨てたら次は学習机に手を付けましょう。私はこれまで実家自室に学習机不要説を掲げていたのですが、コロナ禍においてちょっと重要度が変わってきたなと考えています。父親母親世代が「リモートワークする用の部屋」を必要としていることがあり、「使われておらず物置になっている子どもの部屋の学習机」というのはかなりポテンシャルがあるということに気付きました。

 ちょっと自分の話をしますと、年末年始に手伝った夫の実家部屋掃除は、夫と私側のニーズは「今の家にある本を、実家自室で、それなりに状態のいい形で置きたい(床に山積みとかではないという意味)」でした。一方夫の実家側にもニーズがあり、「父の在宅勤務で机を使いたい」というものでした。私はけっこうリクエストがあると燃えてしまうほうなので、「本も片付けるし机も片付けるぞ!!!」とやる気が出ました。それでこうなったのがこれです(右側には力尽きた夫が座っていました)。

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きれいになった夫実家自室机の上

 これだけきれいにすれば第三者が使えるポテンシャルを感じますね。こういう空間を作ると実家に住んでいる人からの心象もよくなるように思います。

(※袖机の上に積んである本は今度家に持って帰る本で、本来はここもスッキリしていたほうがいいです。また机の下にあるPCとモニターはホントは捨てたほうがいいのですがこのときは捨てきれなかったので暫定的に置いております)

 

学習机の掃除の仕方

 実家の自室の学習机の中には、基本的に4つのものしか入っていません。(1)勉強道具、(2)思い出の品、(3)筆記用具、(4)なんかよくわからんものです。

 学習机掃除の中のものは、乱暴な言い方をすれば全部そのままゴミ袋に捨ててしまってもいいと思っています。しかしそれはあまりにも乱暴なので、「捨てるもの」と「思い出の品」に分類しましょう。

 用意するものはゴミ袋と段ボールです。やることは、机から物を引き離すことです。

 筆記用具は全部捨てましょう(いるものがあったら持って帰りましょう。実家の引き出しに残していてはいけない)。「受験のときに使っていたシャーペン」などは「筆記用具」カテゴリから「思い出の品」カテゴリに移します。段ボール箱(か、それに準じる箱)を思い出の品ボックスとして使いましょう。

 勉強道具(教科書、英語の参考書)なども、机の付属物からカテゴリを変更します。教科書が面白くて残しておきたいと思ったら「本」カテゴリに、ノート類を思い出の品として残しておきたいと思ったら「思い出の品」カテゴリに――と分類を変えていきます。「なんとなく勉強関連だから机に入れておこう」をやめるのです。

 思い出の品、手紙とかプリクラとか写真とか日記とか賞状とかは、そのまま思い出ボックスに移すのではなく、全部見ましょう。人によって大事レベルは違うので、自分の心に従ってください(私は卒業証書は捨てて卒アルを残し、姉は卒アルも捨て、夫は卒業証書も卒アルも残していました)。自分の痛い日記とか出てきたら写メって友達に送ったりインターネットに載せるのもいいよ。成仏します(私は自分の痛い日記は全部残して今の家に持ってきました。何度読んでも心臓をバクバクさせることができるマジックアイテムなので…)。

 この「カテゴリチェンジ」か「捨てる」の二択を、引き出しが全て空になるまでやり続けます。メチャクチャMP(気力)を使う作業なので、好きな音楽などをかけまくるといいです。

 一番疲れるのが「なんかよくわからんもの」ですが、これは掃除の最初のほうに取り掛かるとよくわからなくてしんどくなるので、ある程度疲れてきて脳が自動的に判定をするようになってからとりかかったほうがいいです。だいたい捨ててOKです。

 

袖机を空にしたら机の上にも着手

 袖机を空にしましたか? えらい! そうしたら机の上にも着手しましょう。イメージとしては車のワイパーみたいに全部落下させてしまってもいいくらいですが、たまに壊れ物とかがあって困るので袖机と同じく分類を繰り返します。

 透明のカバー(机を汚さない用のやつ)や机用の世界地図などがあるようでしたら、それは捨てましょう(たまに現金とかはさんであるからちゃんと回収してね)。いわゆる机の天板が見えて、何も乗っていない状態になればOKです。

 袖机は部屋掃除の最後の最後で使うので空の状態にしておきましょう。今回はここまで。おつかれさまでした!

 

余談:会社の机編

 会社の机に関しては、基本いま会社の机がきちんと機能している人はそのままでよく、機能していない人は袖机を使ってはいけないという結論が出ています。しまった瞬間存在が消失する傾向があるので(私はこれです)、資料類は全部机の上に出しておくのがいいです。

 会社机は全然きれいにできていないパーソンなので、読んでいて夢が広がる本を紹介しておきます。参考になりました。

 

 

 

実家自室掃除のススメ(手始め編)

 実家の自分の部屋、どういう状態でしょうか? 家を出ている人の場合、かなりの確率で物置と化しているのではないでしょうか。実家に住んでいる場合も、なんとなく雑然としていたり、なんだか「自分の部屋」という感じが湧いてこないのではないでしょうか。

※このご時世、帰省もしづらいとは思うので、離れて暮らしている方は今度帰る機会があったら~くらいの感じで読んでください。また実家との関係が複雑な方もいると思うので、その場合はこのエントリ自体を完全にスルーしてください

 私はかつて実家の自室をすさまじい汚部屋に変身させてしまい、3年くらいかけて部屋を片付けきりました。そのあと家を出たために自室は順調に物置化、薄目で見ないふりをしていたのですが、実家を売却することになり、実家の自室にあるものを全て処分&引き上げました。

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物置と化した部屋

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途中経過

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引き上げ完了

 やってみて痛感したのですが、実家の自室の整理というのはかなり体力が必要です。私の場合「家を売る」というタイムリミットがあったのでなんとかそこに向けて走り切ることができましたが、そういう強制力がない場合相当大変です。しかし、この部屋にあるものの8割はいらないものだったので、いつかはやらないといけなかったし、いいタイミングではありました。

 私は結婚していて、今は夫と自分のふたりぐらしです。自分の実家を片付けきることができたのにちょっと自信を持ち、夫の実家自室の掃除も手伝いました。これがまた丸一日でメチャクチャきれいになったので、物置状態になっている実家自室をもっている人は片付けるといいのでは…!?と思いこのエントリを書いています。基本的に家を出ている人向けに書きますが、現在進行形で住んでいる人の部屋の掃除にも多少参考になるかなと思います。


実家自室は物置になりやすいが、片付けやすい

 実家自室が物置になりやすい理由は、引っ越しがないからです。一人暮らしなどをしているとわりと何年かに一度引っ越しがあり、強制的に片づけや要不要の振るいわけが発生します。しかし実家はなかなか引っ越しがなく、それどころか一人暮らしで出た荷物を送ったり保管したりすることもあり、自然物置になりやすいです。また実家に住んでいる側も、完全に空き部屋なので物を適当に押し込みがちです。

 実家自室は物置になりやすいですが、一方で一人暮らしの家などと比べて圧倒的に片付けやすいです。なぜかというと、一人暮らしの部屋には「生活必需品」や「必要な(あるいは必要かもしれない)ストック」がばらばらと存在し、処分の判定が難しいものがたくさんあります。

 しかし実家自室は、基本的には生活必需品がほとんどなく、「自分の趣味」と「思い出の品」で構成されています。これはですね、メチャクチャ要不要の判定がしやすいです。

 

用意するもの

・でかいゴミ袋(布を捨てられるもの。自治体のごみ捨てルールによっては指定のゴミ袋で)

段ボール箱

スマホ(音楽をかける用、ジモティを起動する用)

 

最初に心がけること

 基本的には全て「捨てる」ことを前提に考えます。「売る」場合は、一括買取ができるサービスを推奨します。メルカリやヤフオクなど、一品一品交渉することはしないほうがgoodです(それをやり始めると結構な確率で挫折します)。

また、あなたの部屋にはあなたの家族のものが紛れ込んでいると思います。あなたが部屋を片付けるとき、真っ先に処分したくなるのはこうした「自分以外の人のもの」でしょう。たとえば家族の服など、「これいるのー!?」と聞きたくなってしまうはず。しかし、「まずは人のものに手を付けない」というルールを守りましょう。自分のものがいっぱいある状態で他の人のものから片付けようとすると、あなたの片づけは途中で止まる可能性が高くなります。自分のものが全て片付いてから、他人の物のことを考えましょう。

 

最初にやること

 部屋の写真を撮りましょう。劇的ビフォーアフターがやれて楽しいです。またTwitterなどに投稿してもいいと思います(プライバシーには気を付けて!)。

 

まずは服を全部捨てよう

 撮りましたか? では、最初に手を付けるのは服の処分です。あなたが服オタクでないのならば、あなたの部屋にある服はほぼ捨てて大丈夫です。

 実家に帰ったときに着る用の部屋着数着を除いて、全部捨てましょう。ブランドものもよっぽどでなければ捨てていいと思います。「着るかも?」と思ったものは、部屋に保存せず、今住んでいる家に持ち帰るようにしましょう(もしくは、持ち帰ってまで着るかを心に尋ねてみてください)。

 冠婚葬祭用の服などは実家に置いておきたくなるかもしれませんが、こちらの扱いも変わらず、捨てるか今住んでいる家に持ち帰りましょう。制服などが出てくると思い出深いかもしれません。思い出深いものは写真を撮って捨てましょう(なんだったら着て自撮りしてもいいかもしれません)。

 どうしても服を捨てたくない(売りたい)という人は、ブックオフの買い取りなどに段ボールで送るというのも手です。(捨てるか残すかの二択に売るかが加わると脳が疲れるので、個人的には捨てるを推奨します)

 

次はタンスを捨てよう

 服を全部捨てると、タンスや衣装ケースがあまるはずです。このとき、可能であればタンスは捨ててしまいましょう。もしくはいま住んでいる家に持っていきましょう。

 捨てる際は粗大ごみでもいいのですが、引き取りまで時間がかかることが多いので、「ジモティー」がオススメです。あなたが住んでいるところがある程度人口がある町であれば、無料に近い金額で設定すればだいたい当日中に連絡があります。(1泊2日くらい実家にいられる場合は、着いて即座に服を捨て切り、翌日の午前中などを指定してジモティーに投稿しましょう。日帰りなどあまり実家にいられないよ…という状態であれば、写真だけ撮っておいて、今度実家に帰るタイミングで引き取りにきてもらえるようなタイミングで投稿しましょう!)

 

余談:長男長女にありがちなこと

 これは余談ですが、同性の下がいる長男長女は物を捨てる際、「弟・妹が欲しがるかも…」と思って捨てる手をゆるめたり、「これいる?」と聞いたりします。そしてそれを言われると弟妹というものはそんなにほしくなくても「うーん、じゃあとっとく」と言いがちなのです(N=10くらいの私調べ)!

 これは目の前からいったん物が消えますが、実際は押し付けているというケースもあるので、可能であれば兄弟姉妹のタイミングをそろえて自室掃除ができるといいです。どうぶつの森のゴミ捨て場方式で、部屋の一角に捨てるものスペースを作り、気になるものがあったら勝手にもっていってよい(2時間後には処分する)というルールのもとにやるとはかどるような気がします。

 

家に「捨てられない」人がいるときは

 ご家庭によっては、家族に「えー、これも捨てちゃうの? もったいない」と連呼したり、捨てたものを勝手に戻してしまう人がいたりします。この存在はかなり掃除の妨げになりますし、高い確率でけんかになります。こういう人がいる場合は、とにかく経過を見せないことが重要です(その人がその家で生活している場合は、部屋がきれいになって悪い気はしないため、アフターだけを見せましょう)。ごみ袋の中も漁ってしまう系の人の場合、載せ放題で処分してくれる軽トラなどを呼んでもいいかもしれません。

 

 本日はここまで! 次回は「机をやっつける」です。