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アオヤギさんたら読まずに食べた

インターネットで書いたことや考えたことなどをまとめます

2017年にプレイした「車輪の国、向日葵の少女」(PC版)感想

雑記 ゲーム

2017年はやり逃していた名作ゲームをプレイしていこう……という決意のもと、プレイしました「車輪の国、向日葵の少女」(PC版)。PC版の発売日は2005年なので、11年くらい前の作品です。

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車輪の国、向日葵の少女(通常版)

車輪の国、向日葵の少女(通常版)

 

 (↑Amazonリンクは全年齢版)

 

このゲームにはとある大ネタが仕掛けてあり、大学時代に所属していたミステリ小説研究会ではよく話題に上がっていました。実はすでに先輩&同期からその大ネタに関してはネタバレを食らい済みです。

とはいえ、その大ネタ以外何も知らず、どういうヒロインが登場するかも知らない始末だったので、長らく「プレイしなきゃなー」という気持ちはありました。というわけで、プレイしてみたよ!

 

あらすじ

現代の日本と似ているようで、かなり異なる歴史を歩んできた世界のお話。その国では罪を犯した者は刑務所に入れられるのではなく、「義務」が課せられる。時間を大切にしない者は「1日が短くなる義務」。保護者との間に問題がある者は「大人になれない義務」。異性との関係で問題を起こした者は「恋愛できない義務」……。これらの義務を課せられた者たちは、「特別高等人」によって更生指導される。

「特別高等人候補生」である森田健一は、ある田舎町に最終試験のためにやって来た。彼は3人の少女たちの更生を担当する。しかし彼には、この田舎町に関する過去と確執があり……。彼女たちと過ごす夏の日々は、やがて過去のあやまちと絡んだ大きな物語へとつながっていく。

 

全体の構成

全5章。わりと一本道。ヒロインごとの分岐はありますが、大筋はみんな一緒です。

 

ヒロイン感想

・三ツ廣さち(第1章)

「1日が12時間しかない義務」を持つ少女。さちは1日の半分、特殊な薬によって「止まって(眠って)」いる。この義務は、きちんとした労働をせず、ギャンブルなどに身を費やした者に課せられることが多い。明るくムードメーカーだが、感情的で、怠惰なところがある。身寄りがない異国の少女・まなを拾い、妹としてともに住んでいる。

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第1章からいきなりめっちゃきつかったですね。さちは明るくてかわいくてスポーツ少女っぽく(あとエッチなことにも興味津々で)最高の造形なんですけど、本当に怠惰で臆病。義務の中で生きてきてその生活に慣れ切っているのでしょうがないところもあるのだけど、自分が言ったことも守れないし、追いつめられると他人に責任を転嫁する。

たぶんこれが闇金ウシジマくんだったら一瞬で風俗に落とされるキャラなんですが、本作では風俗に落とされない代わりに、ものすごくリアルに嫌なところが描写されます。途中何度も「この子と付き合いたくねえ!」と思った。何度も何度も(プレイヤーとして)見放しかけ、実際主人公も見放しかけたところで、話が大きく動いてきます。

動き始めてからは怒涛。ご都合主義にならず、怠惰と自分勝手の代償をきちんと支払わされるところもよかったです。あと1章が終わったあとは更生しているので、すごく気持ちのいいキャラになっていて、担当章が終わっているのに(プレイヤーの)好感度が上がっていきました。

 

・大音灯花(第2章)

「大人になれない義務」を持つ少女。保護者の言うことに絶対に従わなければならない義務で、毎日保護者の大音京子が指示する通りに生活している。学級委員長を務め、一見かしこいキャラに見えるが、実はあまり要領がよくなく、うっかりミスも非常に多い。毎日指示をされる生活に慣れているため、決断力がなく、優柔不断。ツンケンしている表面とは裏腹に他者に依存しやすい。

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第2章は毒親(機能不全家庭)のお話で、モロにきつかったですね。「頼むから早くこの家を離れてくれ!!!!」とヒロインに向かって叫びたくなるのですが、離れちゃいけないのが義務なわけで…そしてこの環境では、離れるなんて思いつかないのも当たり前であって……。

話が進むにつれて、家庭環境の最悪っぷりと、灯花の優柔不断っぷりを延々読まされることになり、苦しみながらクリックしていました。灯花は作中、重大な決断を迫られるのですが、そんな重大な決断が彼女にできるはずがなく、「どうしよう」「わかんないよ」「どうすればいい?」「私バカだから…」と(やや舌っ足らずに)問い続けるのです。ウッ……発言小町にでも聞いてくれ……そんな全身で「あなたの選択によりかかります!」と主張しないで……と苦しみました。

ずるい(うまい)ところは、彼女とのピンクなシーン。もともと子供っぽい喋り方をするキャラですが、いざ恋人同士になって体の関係をもつと、全力で甘えてきます。セリフ表記が全部ひらがなになるレベル。庇護欲と嗜虐心が湧くようになっていて、よくできたキャラクターだ……モテる……と震えました。ヒロイン内での人気投票も1位だったようです。まあセックスにめっちゃ依存しそう。

章のオチは「お前、本当にそれでいいのか」と思ってしまいますが、まあ、構成としてはよくできている。ただ私は本当に機能不全家庭ものが苦手なので、この選択をされるとどうにも居心地が悪くなってしまうなと思いました。

 

・日向夏咲(第3章~)

「恋愛ができない義務」を課せられた少女。異性との肉体的接触が禁じられている。もともとは天真爛漫で友達が多く、ひまわりのような少女だったが、今では見る影もなく、おどおどと猫背で過ごしている。天然というかマイペースというかぼーっとしているというか、コミュニケーションがうまく取れないことも多い。自身を卑下する発言が多い。

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第3章は、主人公が抱えている過去の話をしつつ、核心に迫りつつ、夏咲の心に潜っていくような話で、とにかく鬱屈としていましたね!!!夏咲は過去では非常に魅力的なんですが、現在の彼女は本当にきつい。会話が成立しないのがきつい。ただそんなつらい人間になった原因もしっかり描かれるのでまたきつい。

終盤の切り替わりは鮮やかで、お話の作りとしては好きなんですが、ヒロインとして好きかというと、実はその後の展開が怒涛すぎてある意味割を食っているかも…。

 

・例のあの人(全編?)

存在について触れることが巨大なネタバレなのであまり詳しく言えない。

児童虐待だと思う。でもおいしいので許す。このポイントについてはギャグシーンが実はギャグじゃなかったりしていて、細かく伏線が貼られていて素晴らしかったです。

 

・卯月セピア

狂人っぽい言動をする主人公のクラスメイト(男)。彼の言動は最高だった。卯月ルート欲しい。

 

・法月将臣

主人公の指導者。冷静冷徹、すべてを見切ったような態度を取る恐ろしい上官。若本ボイス。法月最高でしたし広い意味ではヒロインでしたね。4~5章の展開があまりにもアツく、1~3章で「うっこの描写のねちっこさ、すごいけどきつい」と思っていたところを吹っ飛ばされました(もちろんそれだけ鬱屈とさせられたから爆発力がでかかったというのはある)。

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4章と5章のとある大きなミステリ的ギミックは、「スパイラル~推理の絆~」の小説版第1巻「ソードマスターの犯罪」を思い出しました。大ネタばっかり注目される「車輪の国~」ですが、終盤のバトルもミステリ力が高い!

 

小説 スパイラル‐推理の絆―ソードマスターの犯罪 (COMIC NOVELS)

小説 スパイラル‐推理の絆―ソードマスターの犯罪 (COMIC NOVELS)

 

 (↑小説版スパイラル、ド名作なのですが、電子化も文庫化もしていないので勧めにくい。本当に惜しい……)

 

全体の感想

おもしろかった。プレイしてよかったです。ヒロインたちの言動でストレスを溜めさせて、章ごとにそのストレスを解消させてカタルシスを与え、んでもって大ネタで「うおおお!?」とさせて、そして畳みかけるようにクライマックスに走っていくの、素晴らしい構成でした。よくできてる。名作です。