「将棋女子座談会」構成を担当しました&最近読んだ将棋の本
cakesの「将棋女子座談会」の構成を担当しました。将棋を「観る」のが好きなファン、つまり「観る将」の女性4人に集まっていただき、将棋の魅力や棋士の好きなエピソードなどを語っていただきました。
みなさんの語り、ハチャメチャにアツかった……! 全4回の座談会です。
★vol.1「びっくりするくらい、観る将に優しい業界なんです」
★vol.2「将棋の世界はジャニーズ」「黒子のバスケ」
★vol.3「私には関ジャニ∞の渋谷すばるくんにしか見えないんです!」
★vol.4「今の将棋界は、羽生先生を中心にした神話」
そしてたくさん将棋本をおすすめしていただきました。
『透明の棋士』
新聞記者・北野新太さんの「いささか私的すぎる取材後記」を中心に再構成された将棋コラム本。棋士や将棋の世界のドラマティックな部分をドン!!と抽出した内容で、めちゃくちゃエモいです。
(そもそも北野さんが将棋の世界に惹かれたのも、将棋や棋士の持つドラマ性のすさまじさがきっかけとのこと)
「闘志について語る時に羽生の語ること」
「羽生について語る時に渡辺の語ること」
「羽生について語る時に森内の語ること」
が、もはや章タイトルだけで拝みたくなるような感じです。神が神について語ると神なんだよな……。
『将棋の子』
将棋は「選ばれしもの」の世界。多くの若者がプロを目指して戦っているけれど、その大部分が奨励会の三段リーグの壁に阻まれて夢を諦めていく。『将棋の子』はそんな奨励会員にスポットを当てたノンフィクション。
26歳まで将棋しかやってこなかったのに、夢を諦めなければいけず、放り出されたような奨励会員の姿は本当につらくて、夢というものの輝きと、そして残酷さを見せつけられます。電車の中で読むと泣くので注意。
『聖の青春』
29歳でこの世を去った村山聖九段の生涯を描いたノンフィクション。幼い頃から腎臓病に苦しみながらも、その病気の苦しみの中で生まれた死生観や勝負へのこだわりで勝ち抜いていく村山九段の姿に圧倒されます。
わかってはいても、病状が悪化してからの描写は読んでいてつらい。そして亡くなってしまったあと、師匠の森信雄七段が語る言葉で涙腺がボロボロに。
「わしには夢があったんや」
森は下着姿で私の蒲団の横に寝転がって言う。
「村山君が年をとってどんどん将棋が弱くなってなあ、そしてわしのクラスまで落ちてくる。わしはそれまで何とかそこでがんばってな、そして二人で対局するんや」
森は寂しそうに煙草をくゆらす。
「お互いに冴えんなあって笑いながら」
叶わなかった夢を穏やかに語られるともう本当に胸にくるのでダメ……。電車の中で絶対に読んではいけない本です。
棋士のみなさんは新書もたくさん出してらっしゃるので、そちらも読んでいきたいところ。奥深く素晴らしい世界です。