創作&評論系同人誌即売会「文学フリマ」。基本的に文字ものが不利である即売会の世界において、かなり珍しい文字もの同人誌中心の即売会です。(※コミックマーケットでも文字ものは多く頒布されていますが、分母が大きいがゆえのことであって、やはり漫画・イラスト系のほうが強い傾向があります)
気になるのが部数。二次創作の世界では1000や2000といった景気のいい数字も聞こえてきますが、文学フリマは基本的にそこまで売れません。おそらく3桁後半~4桁文学フリマで売れたサークルは、歴代全部総合しても5サークルくらいしかないんじゃないでしょうか?
超現実的な話、多くのサークルの目安&目標になっているのは「50部」という数字だと思います。もっと詳しく分けると、
【30部】これくらい売れると一安心する
【50部】それなりに売れた、よかった/50部しか刷ってなかったから完売しちゃった、もうちょっと刷っておけばよかったかな、でもちょうどよかったかも
【70~80部】けっこう売れた気がする
【100部】文学フリマ内ではなかなかの大手サークル
【150部以上】文学フリマ内では大手サークル
こんな感じなんじゃないでしょうか?(評論の体感です。創作小説だとこの数字からマイナス10~20くらいすると良い気がします)
同人誌を作っているときはだいたい気が大きくなっているので、50部くらいすぐになくなりそうな気がするのですが、実はけっこう難しい。
文学フリマの参加者数は最大で4000人(wikiによると)。そして開催時間は実質5時間くらい。一時間に10冊売れるって、意外と難しいものです。
では、50部売れるためにはどういうことをすればいいか?
■装丁面&価格面
基本的に同人誌は、赤字にならないように作ったほうがいいと思います。全部売れて印刷代が回収できるくらい……とすると、結局スペース代や作っているときの手間暇で赤字になるので、半分売れると印刷代が回収できるくらいにしておくといいと思います。
小部数だとコピー本にしたくなるんですが、コピー本って意外とちゃんと作ろうとするとお金がかかるので(表紙をカラーにしようとすると特に)、オンデマンドがオススメです。
・ちょこっと製本工房 オンデマ本とコピ本の中間っぽい冊子が作れます
・コミックモール 文庫&新書の形の本を作りたいならここがお手頃価格、ただしカバーや帯をつけると他の印刷所のほうが安くなるかも
価格は、A5&B5で100P以内ならP数×10が相場(100P以上はそれよりも安く)。ただし文フリの場合、実際はP数×7~6くらいをつけているサークルが多い気がします。それくらいの値段で赤字が出ないように逆算して印刷所を選びましょう。
■内容面
他の同人誌即売会に比べて、明らかに文フリが「強い」ジャンルは、ミステリとSF評論だと思います。これはミステリ&評論畑の読者が「文フリに行けばそういうものが買える」と思っているのと、あとはいわゆる相互買いが多いことも大きな理由のひとつになっているはず。
ただし、ただ漫然と出していても手に取られにくいです。
・はっきりした企画…○○全作レビュー、○○トリビュート
→その作品を好きな人や、その作品について知りたい人が手に取りやすくなります。
・プロの参加…○○寄稿、○○インタビュー
→ファンによるファンがほしいものがゲットできる感じで。
・価格が1000円以内
→初見で1000円以上はなかなか出せない。学生だとなおさら。
・既刊がいくつかある
→まとめ買いがしやすい&過去も活動していた安心感がある
おそらく評論系だとこの辺がポイントになってくると思います。あと身もふたもないけど知名度……。
創作小説についてはあまり詳しくないのですが、【はっきりしたあらすじ】や【キャッチコピー】、【推したいキーワード】などがはっきりしているとよいと思います。あと言わずもがな小説だとプロの参加は強いです。特に既存の作品のスピンオフやお遊びトリビュートだと超強いですね。
・とにかくわかりやすいタイトル
→テーマがはっきり伝わるようなタイトルがよいです。自分が買うときのことを考えましょう。
■告知面
とにかくTwitterで毎日呟くのが一番の宣伝になると思います。
コミケだとPixivが不可欠って感じですが、文フリとPixivはそこまで相性がよくない……。あと、ブログでもなんでもいいので特設ページ(表紙・ページ数・参加者・本文抜粋・価格・サークル名・サークルスペースなどをまとめたページ)を作っておくと便利です。
文フリは事前に参加サークルをまとめてくれるブログなどもあったりするので、そこに拾ってもらえるとよい(ちょっと嬉しい)かもしれません。
■当日やったほうがよさそうなこと
・見本誌を出す
文フリは見本誌を立ち見用に提出できるのですが、そこは確実に出しておいたほうがよいです。みんなわりと立ち読みしてます。
・ブース装飾
装飾というか、レイアウトというか……。
卓上ポスター、卓上ポップは絶対にあったほうがいいです。卓上ポスターはA3くらいのサイズがよさそう。
(今回私は持っていくのを忘れたんですが、明らかに視線の引きが弱かったです)
机の前面にポスターや惹句を貼るのも効果的です。
背面・壁面ポスターは、壁近くに配置されているサークルの場合、あったほうが見栄えがいいです。が、そうじゃない場合、そこまで必要不可欠とは思えません(それよりは卓上ポスターがあったほうがよい)。
壁面ポスターの場合、A2ポスターだと案外小さいので、それ以上の大きさがおすすめです。
コミケの場合だと敷布はマストですが、文フリだとそんなにがんばって用意しなくてもよさそう。
■イベント終了後
イベントに来られない人ももちろんいるので、通販を行うといいです。
私はBOOTHというサービスを使ってます。けっこう便利です(BOOTHについても今後まとめてちょこっと書きます)。イベント当日にはそこまで出なくても、通販でけっこう買ってくれることもあります。
以上、ざっくりとまとめました。
小説についてのまとめや、100部以上売れるためには?といったポイントが弱いので、どなたかにフォローいただきたく!
最後にあつかましくも宣伝です。