機龍警察短編集『機龍警察 火宅』が面白すぎる
短編集『機龍警察 火宅』が発売されました。ファンは必読ですし、短編ごとにしっかり面白いので、シリーズ追っかけるのが途中で止まっている人も読んでほしい!
「火宅」
初出「ミステリマガジン」。ゆきたにしろうさまがメインの短編。どう見てもミステリだが、大森望の「背景設定がSFだから!」という鶴の一声で2011年の『結晶銀河 年間日本SF傑作選』に収録されている。大森望さんのいいところは「この作品面白い!」と思ったものをいろんな理屈を用いて全部SFのフィールドに放り込んで「SFって面白いわ!」という評価にするところ。たぶん近いうちにハロー!プロジェクトもSF入りする(もしくはSFがハロプロ入りする)。
「焼相」
凄惨な事件だがシャブ太郎くんが面白すぎる。シャブをキメると脳味噌をレンチンされる羽目になるから気を付けよう!
「輪廻」
機甲兵装は暴力を加速させる暴力装置。子供しか乗れないエインセル(『未亡旅団』)もやばかったけど「輪廻」の義肢はマジでやばい。今後どんどん対子供戦が増えてライザの色相が濁るんだろうか…。
「済度」
『自爆条項』のあとに読みたい。沖津と「あの人」との〈相似〉は『自爆条項』でも描かれていたけれど、ライザもそう感じていたというのは面白い。
「雪娘」
ユーリと由起谷は確実に重ね合わされるようになっている。機龍警察の世界はどこを向いても地獄。
「沙弥」
木原音瀬みたいだなと思った(BL好き並の感想)
「勤行」
現場組が事件に動く一方で、キャリア組はややこしい事務仕事に全力を尽くしていた。宮近は娘の発表会に間に合うことができるのか!? 宮近よかったね…よかったね…という言葉しか出ない。よかったね……。
「化生」
世の中の加速に追い立てられるようにして、小説世界も加速している。今後の機龍警察の展開に大きな影響を与えるめちゃくちゃ重要な短編。