アオヤギさんたら読まずに食べた

暮らし、エンタメ、金、自己啓発、ときどき旅

読んでよかった2021年4月

2021年4月に読んで(見て)よかったものを順不同で紹介します。ビジネス系とTL(ティーンズラブ)は「よかった」が別軸なので下の方で別にまとめております。

 

「自分ごとの政治学 学びのきほん」

自分ごとの政治学 NHK出版 学びのきほん

自分ごとの政治学 NHK出版 学びのきほん

 

NHK出版の 「学びのきほん」シリーズは、ちょいちょいセールをやっているので興味があるのが安くなっていると買って、思い出したように読んでいるのですがかなりいいですね。ド専門の方から見るともしかしたらセンシティブなこともあるかもしれない(ちょっと自分ではわからない…)のですが、入門者・初学者からすると非常にとっつきやすいです。

この本はフランス革命の際の右派⇔左派、そしてそこからくる保守⇔リベラルという区分けだといまの政治のことをうまく説明できないため、父権的(パターナル)⇔リベラルという軸を作って説明していてすごくしっくりきました。

 

「一生忘れない怖い話の語り方 すぐ話せる『実話怪談』入門」

 怖い話の「語り方」という、ものすごい狭いところに向けられた本で、主に実話怪談のプレイヤーに向けられた本です。そもそも「実話怪談」にある程度レギュレーションがあるってみなさん知っていましたか? 私は全然知りませんでした…。

実話怪談は「実話であることがちゃんと示せる(取材対象者が存在している)」ということが非常に重要なジャンルなんだそうです。その際の取材の仕方や編集の仕方、ホラー小説と語りの怪談の違いなど知らない世界で興味深かったです。

この本を踏まえたツイートがこちら。

 これは怪談ではないんですが、いわゆる都市伝説的な話とか、テレビで見た話ではなく、(ツイートでは伏せましたが)具体的な地名やその人の好き嫌いとつながっているエピソードが聞いているときに「実話っぽいな~」と感じた記憶があり、ツイートでもそのにおいがでるといいな…と思っていました。

ちなみに駄菓子屋のババアの話は私の地元トークをしているときに「昔同じ市に住んでたんだけど…」から始まった話で、小学校名がマジで地元で「リアリティ!」としびれていました。水あめおじさんの話はこのツイートが伸びた結果DMで「○○の地域ですか?」と連絡をくれた方がいて(合ってた)、結果として水あめおじさんの部屋番号までわかりました(インターネット、たまにステキだよな…)。

 

「エジプト十字架の秘密」

エジプト十字架の秘密 (角川文庫)

エジプト十字架の秘密 (角川文庫)

 

私にはさまざまな罪がありますが、その中の一つは「ミス研にいたのにクイーン全然読んでない(後期クイーン問題の話だけわかる)」というもので、こないだ「第八の日」読んでクイーン未読を卒業、そしてエジプト十字架の秘密でなんと二冊目を読みました。クイーン面白くないですか?(十年前に読んどけばよかったナ…)

ちなみに4月からミステリ有識者にミステリ初心者&初級者がミステリを教えてもらう読書会をスタートしていて、「エジプト十字架の秘密」はその課題本だったのでした。「エジプト十字架の秘密」「孤島パズル」「都市伝説パズル」の三冊。孤島パズルは何度読んでもメチャクチャ面白いし謎解きシーンの江神さんがかっこよすぎる。ちなみに読書会では「探偵と作者の名前が一緒でびっくりしました」という感想が出て、「新鮮な感想だ!」とテンションが上がりました。 

 

ショーシャンクの空に

ショーシャンクの空に(字幕版)

ショーシャンクの空に(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 ド名作やないか……。

 

NHK BS「さようなら全てのエヴァンゲリオン

「プロフェッショナル 仕事の流儀」の庵野秀明回を再編集し100分に拡大したスペシャル版。「プロフェッショナル」の型で作った前のバージョンと比べてこちらはナレーションを排していて非常に良かったです。

メタ言及的に入れてありましたが、全てのドキュメンタリーというのはフィクションなんですよね。演出意図のもとに切り貼りされていて、膨大な素材の中から文脈を構成している。プロフェッショナル版は「一筋縄ではいかない男・庵野秀明に振り回され支えるたくさんの人たち(NHKスタッフも含め)」というストーリーがつづられていて、100分版はもう少し「周囲の人たちが見る庵野秀明」という感じがあってこちらのほうが好みでした。

庵野監督は編集のうまさも飛びぬけている人なので、2つのバージョンがあることでメタ的に「映像の編集とは」というメッセージも勝手に感じられてよかった。しかし鈴木敏夫宮崎駿のサービス精神はすごいですね。絶対に使いたくなるシーン(取れ高がすごい!と感じられるシーン)を自分で演出できてしまう人たち。

 

ビジネス:「一生仕事で困らない企画のメモ技」

 無限プチプチを企画した人の企画本。「自分がほしい」と思ったものをメモしていって、それを「元ネタ」のようにして掛け合わせて企画を作るというものです(詳細は読むとめちゃくちゃていねいに書いてあるのでぜひ。アンリミ入ってます)。わりと以前行ったショートショート講座にも近い操作で共通するものを感じました。

ao8l22.hatenablog.com

 

ティーンズラブ:「黒弁護士の痴情 世界でいちばん重い純愛」

 めちゃくちゃ絵がエッチでいいと同時に、弁護士ものなんですが弁護士事務所の描写が絶妙に詳しくて、そういうディテールにぐっときてしまう……単話1話とかがアンリミに入ってるのでお試しで読んでみて好みだったらオススメです。

読んでよかった2021年3月

2021年3月に読んで(見て)よかったものを順不同で紹介します。ビジネス系とTL(ティーンズラブ)は全然「よかった」が別軸なので下の方で別にまとめております。

 

暇と退屈の倫理学

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)

 

  

 

 

 

 「暇・退屈」と「労働」の関係を書いた名著で、ずっと前から積んでいたけど「今だ!!!」と思って読んだらスゲ~面白かったです。人々が労働とどう付き合ってきたのか(あるいは労働によってどう管理されるようになっていったのか)ということがどんどんわかり、結果として「花束みたいな恋をした」のこともよくわかるようになります……。

ちなみに冒頭近くにある「定住と退屈」の話は人間が狩猟民族から今にいたるまでどう変わってきたかという話をしていますが、「スマホ脳」も似たような話からはじまるので勝手に相補性を感じて楽しかったです。

 

スマホ脳(新潮新書)

スマホ脳(新潮新書)

 

 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

 

 

 

 オードリー若林のエッセイは「ナナメの夕暮れ」「社会人大学人見知り学部卒業見込」も読んでいるのですが、ウソをつかない(ように見える)のがいいですよね。冒頭で言っていたことを本の後ろ側で否定するようになっている(書き手の変化を隠さない)。なんというか「自分が作ったキャラクターを演じない」というか。

文庫になる際に「モンゴル」「アイスランド」「コロナ後の東京」の3編が加筆されて、若林が4つの旅を通して何を考えようとしていたのかというような大きな構図も見えてきて、小説っぽさも感じました。もういろいろな人が「小説書きませんか?」と声をかけまくっていそう。

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中

 

 

 「A子さんの恋人」と対になっているところがあるよ…と友人たちから言われていて、「A子さんの恋人」が好きすぎるゆえに読めていなかったのですが、読んでみたらすごくよかった。1巻から3巻にかけて、世界が近藤聡乃にネタを与えているというか、近藤聡乃が生きる道が世界になっていくというか、世界を見る目は変わっていないのに世界がどんどん変わっていくライブ感みたいなものを感じる作品です。

ちなみに「ユリイカ」の近藤聡乃特集もすごくよかった。「A子さんの恋人」についての藤本由香里さんの論考を読んで「……これはシンエヴァなのでは!?(円環を打ち破るのは第三者…!!)」と勝手に相補性を感じていた。

 

シン・エヴァンゲリオン劇場版

給料日ラジオでも話したのですが、初見時は「こんなに完璧に終わらせなくていいじゃん……」となんだか悲しい気持ちになってしまったのでした。が、時間がたつにつれてしみじみ好きになってきている…。

私にとってエヴァンゲリオンという作品は、メッセージのために設定とキャラクターが作られ動いていくものだなという印象があって、結局マリが何者なのか…と考えたときに、これは我々観客なのではないか?と思ったのでした。シンジくんを救ってあげたい、エヴァを楽しく動かしたい、アスカと仲良くなりたい、綾波の心を動かしたい。マリを「観客の願い」と考えるのはちょっと自分たちをキレイに言いすぎ感があるんですがまあ。

あわせてNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」の庵野秀明回と、安野モヨコの展覧会図録「ANNORMAL」、安野モヨコの有料noteもよかった~。林原めぐみの「林原めぐみのぜんぶキャラから教わった 今を生き抜く力」も今のタイミングで読めてよかった。

 

 「プロフェッショナル」もわりと筋書きは「天才と彼を支える人たち」というラインを演出していたなと思うのですが、「庵野に振り回される人々」というのは実はそれぞれ天才なのであって、…といろいろもやもや考えてしまいますが、安野モヨコは「見せたい自分」の演出が抜群にうまく(「美人画報」のときなんて本当に本当にすごかった)、うますぎるくらいなのですが、今は見てほしいストーリーがこっちなんだな、と受け止めたいです。

暮しのファシズム

この一年間ほど人間が「暮らし」について考えたことはなかったと思う。住環境をよくすることが生きやすさにもろに反映される生活の中で、ちょっとでも便利にしようと思って暮らしグッズや仕事グッズを買ったりするわけですよ。でもそういう「よくする」行動をしていると、自分が望んでそれをしている気がしてしまうけれど、社会のツケを個人が払わされているという怒りを忘れてはいけないよなといつも思っていて、そんな怒りを呼び起こしてくれる本でした。

 

さてここからはややジャンル別で。

ビジネス:世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている驚くほどシンプルで一生使える投資の極意

 金融資産についての話は「そうよね~」という感じだったんですが、人的資産とからめて書いてあるのがすごくわかりやすくて納得。アンリミに入ってます。

ティーンズラブ漫画:木更津くんの××が見たい(単行本版)

 

2巻、「えっ……マジで!?」という展開が待っていました。最近は女性漫画もTL漫画も「アラサーの働き方」描写がどんどんうまくなっていっているのですが、「木更津くん」はエッチ描写もちゃんと盛り込みながらアラサー女性の働き方をしっかり描くぞ!!という作者の魂を感じて素晴らしいです。

ティーンズラブ小説:ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない 魔女は愛弟子の熱い口づけでとける

 最近は「ティーンズラブ小説もいいな…」とちまちま読んでいるのですが(ムーンライトノベルズ出身の作家さんがけっこう書いてる)、クレイン作品はどれもいいです。「ヤンデレ魔法使い~」は冒頭と中盤で男女の年齢が逆転する展開になっていて、「年上のお姉さんへの少年の恋心」から「大人の男の執着」まで1冊1ヒロイン1ヒーローで楽しめるという欲張りセットになっています!

 

簿記3級ってどうなの?の現時点での所感

前回「お金のことを考えたくない人はFP3級を勉強するといい」ということを書いたのですが、同じくお金関係の資格っぽい「簿記3級」はどうなのか?というのもおまけで書いておきたいと思います。

結論から書くと「基本的に勉強しなくていい。でも勉強リハビリとしてはいい」です。

ao8l22.hatenablog.com

 

簿記3級とは日本商工会議所によると「業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき『必須の基本知識』として、多くの企業から評価される資格。基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル」といいます。ただFP3級と同様、簿記3級も実務レベルではありません。2級より上が実務レベルかな。

マネーリテラシー系のYouTubeだとどちらの受験もオススメされたりしていますが、個人的には「フリーランスのライターはFP3級を勉強するべき」と強く思いますが、「フリーランスのライターは簿記3級を勉強するべき」とは思いません(FP3級の合格レベルまで知識をつければ確定申告ができるが、簿記3級合格レベルまで知識をつけても確定申告はできないため/物を仕入れる系のフリーランスは簿記知識があったほうがいいかも…)。いまは基本的にfreeeなどの会計ソフトなどを使って処理ができるので、簿記の知識がなくても帳簿をつけられます。

簿記3級を勉強すると「帳簿、記帳、そういうのがあるのか」「決算とかいうときに何が行われているのか」「貸借対照表ってこれか~」というのがわかって、まあ無駄ではないんですが、実際に勉強で行う作業は左と右の帳尻をあわせるパズルです。ビジネス系でいい本がいろいろ出ているので、「社会がわかりたい!」「企業のお金のことがわかりたい!」というビジネス教養を求めている場合はそちらを読んだほうがいい気もします。

 

 

でもいいところもあるんですよ

簿記はこれまで年に3回の試験が行われていました。ですがコロナの影響でCBT試験(テストセンターでネット試験を受験する方法)が実施されるようになり、今後は2~3級はCBT試験の出題方式のほうにそろえていくようです。

簿記3級のCBT試験はほぼ毎日受けることができます。ちなみに私は18歳のときに「よし、簿記を受けるぞ!」と思って7割くらい勉強も終えたんですが、適切なタイミングで受験申し込みをすることができずに取得ならずでした。CBT試験が実施されなかったらずっと簿記3級合格できてなかった可能性ある。

FP3級のときにも書いたのですが、勉強習慣がもともとない人は「勉強して試験を受ける」ではなく、「試験を申し込んでそこに向けて勉強する」のほうが結果としてたくさん勉強することになると思います。自分で自分に締め切りを設定するということですね。簿記3級は1カ月後くらいの空いてる時間に申し込みをすればいいのでぴったりで手軽です。受験料も3000円くらいなのでそんなに高くない。

会社員になってから勉強習慣が完全に途絶えている…という人も少なくないと思うのですが(エンジニアの人とかはそんなこともなさそうだが)、簿記3級の勉強は簡単な仕訳からスタートして最後に仕訳の知識を全部使ってちょっと歯ごたえのある決算仕上げって感じなので、非常に勉強リハビリとしていいです。知らん単語が多いのも「勉強してる~!」って自己肯定感を得られる。

 

勉強法

一応勉強法も書いておきます。使ったテキストは滝澤ななみさんの「スッキリわかる 日商簿記3級」です。実際は18歳のときに「やるぞ!」と思って購入したテキストがあったのでそれを使いました。簿記はそんなに情報が更新されていないので、古本屋とかで売っているちょっと前の版のテキストを使ってもよさそうです。

↓の本はネット試験(CBT試験)に対応しているのをウリにしているようです。 しかし安いな~(受験者数が安定して多いからこの安さにできるんだろうな)。

スッキリわかる 日商簿記3級 第12版 [テキスト&問題集] (スッキリわかるシリーズ)
 

ネット試験対応と書いてないテキストも使って大丈夫ですが、本番は「試験時間が1時間」「大問が5問じゃなくてだいたい3問」ということをなんとなく意識しておくとよさそうです。私はそれを知らずに受けにいって「時間ないじゃん!」と非常に焦りました。1時間はけっこうギリギリ。

 

まとめ:簿記3級を合格して得られるもの

・「自分、勉強ちゃんとできるやん」というちょっとした自信

・freeeに入力したときに自動表示される「仕訳」に「フ~ン、わかるわかる、これね」となる

・freeeの入力画面にアレルギー的なものを感じない