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アオヤギさんたら読まずに食べた

インターネットで書いたことや考えたことなどをまとめます

私はあなたのドッペルゲンガー

私の顔は平凡である。強い個性がない顔で、人の印象に残りにくい。大学一年生のころ、初めて行った新歓コンパで、初対面の男の子に「印象に残らない顔ですね!」と言われたことがあるくらい、印象が薄い顔だ。

そして不思議なことに、私はいろいろなところで目撃される。

「青柳さん、昨日渋谷にいた?」「いません」

「こないだ井の頭線乗ってたよね?」「乗ってません」

「埼玉のコンビニでバイトしてる?」「してません」

「北海道のいとこに似てる」「知りません」

一回や二回くらい会ったレベルの人はこうした報告をしてくれないので、このような報告はけっこう長い期間で付き合いのある人からもらう。つまりそれなりに確度が高い「似ている」情報だ。

 

こういうことは中学時代から起きるようになった。

最初に記憶に残っているのは、中学校の時、学校帰りに寄った武蔵小金井のマクドナルド。友達とポテトをつまみながらおしゃべりしていたら、高校生のちょっとギャルっぽい人とヤンキーっぽい集団がやってきた。

彼女達は私を見て驚いた顔をした。「あー!」と指をさし、そこからお互いに顔を見合わせて笑い出した。一緒にいた友達が私に「あの人たち、知り合い?」と尋ねてきた。私にもそう思えるアクションだったが、もちろん知り合いではない。

15分くらいのあいだ、私は彼らのちらちらとした視線を受けながらポテトを食べ、きまずさに耐えかねて店を出た。たちの悪い罰ゲームの可能性も大いにあるが、共通の知り合いに似ていたんじゃないか、というのが私の予想である。

 

5年くらい前から付き合いのあるNさんという人の話もしよう。

Nさんはお酒が好きで、新宿ゴールデン街のバーをふらふらしていることが多い。いつものように店に入ったNさんは、バーの先客に目をとめて、「あーっ!」と叫んだ。

「青さん、青さんもこの店来てたんですね~」

と近づくと、相手は怪訝な顔をする。Nさんは初め、私がからかっていると思っていたらしい。しかしよく見ると、相手には目の下のほくろがなかった。「あ、青さんじゃない!?」とNさんはめちゃくちゃびっくりしたのだと言う。

私に似ていた女性は早稲田大学の文系学部を卒業していて、フリーでライターをやったのち、いまはしっかりした会社に所属をしながら編集ライター業を続けているとのこと。顔だけではなくやっていることも似ていて(しかも比較するとその女性のほうが社会的にしっかりと活動をしている)Nさんは不思議な気持ちになったそうな。

 

facebookでも思わぬ出会いがある。

facebookには、アップされた写真に人物名のタグをつける機能がある。これは基本的に手動でつけるものなのだが、最近自動でタグをつけてくれるようになった(らしい)。タグがつけられると自分のところにも通知がくる。

通知がきた。中学校のときの先輩(2歳上)が上げていた集合写真に「青柳美帆子さんが一緒です」といった文章が並んでいる。同窓会の写真であった。

い、い、行ってない!

びっくりして写真を見て、誰に「青柳美帆子」とタグがつけられているのか探した。いた。たしかに、こういう顔で、写真に写っていることが、あるような……?

facebookがどのようなシステムで顔を認識してタグをつけているのかはわからない。でも少なくとも、facebook的には、その写真の彼女は私の顔をしているようだった。

 

こういうことが何回も起こると、「ドッペルゲンガーだ!」というよりはむしろ、「私が彼女たちのドッペルゲンガーなのでは?」という不安が心の中に生じてくる。

蠱毒のようにして、私っぽい顔の人たちでバトルロワイヤルをしたら、たぶん二回戦目くらいで敗退するだろう。

私に似ている顔の人と会って話して飲んでみたい。でも会った瞬間、因果律が修正されたとかなんとかで、じぶんが砂となって消えそうな気もする。