アオヤギさんたら読まずに食べた

インターネットで書いたことや考えたことなどをまとめます

祖母が恋人についてノロけた日記を発見したので無断転載する

祖母が亡くなった。2015年12月31日の朝だった。その一報をもらったとき私はふとんの中でゴロゴロしながらpixivでBL二次創作R18小説を読んでいて、「しまった」と思った。もっと虫の知らせなどがあったらもう少し粛々と報を受け取れたはずなのに。

姉に話を聞いたところ、甥は朝方急に目を覚まし、ちょうど祖母が亡くなった時間は激しく泣いていたらしい。これだよこれ……こういうのがあってほしかったよ……。

31日は長い1日で(なぜかというとあれこれの間を抜けてハロプロのカウントダウンライブビューイングに行ったからなんだけど)3日分くらいあった。だから意識としては今日もうすでに祖母が亡くなってから3日経っているような気持ちだ。

祖母の話。

祖母の家系はとにかく女が働く家庭で、まあ戦後すぐに女が一生ゴリゴリ働くとなると職種は限られ、8割以上が教職についている(私の母も教師である)。祖母は新聞記者や教員やなにがしかの委員などを務め、退職したあとも中国の民話を訳して自費出版していた。働き者だし勉強熱心な人だった(私が細かいことは丸めて「おばあちゃんみたいな仕事をしてるよ」と言うと喜んでくれた)。

かなり早い段階で身体の調子を悪くして、不自由な生活を送っていたけれど、頭はかなりはっきりしていて、通っていた老人用グループホームでも、パソコンで文字を打つことを覚えた(グループホームの中で文字のタイプを覚えられたのは祖母だけだったらしい)。そこで、ホームに行くたびに文章を書いていて、それをまとめたものが十冊ほどあって、私たちに渡してくれていた。

祖母が亡くなったので、いまそのエッセイを読み返している。孫バカかもしれないがなんかこうぐっときてしまったので、勝手に引用させてもらいます。

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一月十八日

亡夫のこと

 五十年も連れ添った夫との思い出を打ってみようと思う。なくなって三年になる。皆さんに三年経てば落ち着くわよ、といわれたが、本当だ。やっと彼とのことを打ってみようと思うのだから。

 同い年だから、友達みたいだった。どちらかといえば私の方がリードしていたように思う。一緒によく旅行したので、その思い出が多いのではないかと思う。

 同僚のお姉さんが、早稲田を出て、早稲田通りで、甘味屋を始めたというので、大学まで出て何でという好奇心から出かけていった。普通のあんみつなどを売っているおみせやさんで、私はあんみつが好きなので、会社の帰りに寄っては、あんみつとラーメンをたべた。太っていつもにこにこしているお姉さんで、安くっておいしくて、学生向きにぴったりのお店だった。

 

二月五日

夫のこと

 会社の同僚のお姉さんのお店は、安くっておいしくって学生向きなので、早稲田の学生などは沢山入っていた。そこに彼もよく来ていたらしく、ある日紹介された。私はわりにサークルなどにでるので、男性の友達は多いのだが、私の周りに寄ってくる人はずんぐりむっくりの人が多いので、自分がそうなものだから、嫌だったのが、彼はすらっと背が高かったので、それにいかれてしまったらしい。彼は毎日私が会社をひけるころ分からないようにして待っているのである。

 

二月八日

 全く彼の積極性には驚いてしまった。雨の日も折れた骨の傘をさして待っているのである。それから晴れの日は外苑などに行って、一緒に歌を歌う。合唱団に入っているとかで、私の知らないロシヤ民謡など教えてくれるので楽しかった。予想外は彼は早稲田でなく、日大の中国研究会のほうだったので、がっかりした。でも中国の歌なども教えてくれた。私ってなんでも首をつっこみたがる人で、それでは中国のことを知ろう、それには言葉からだと、会社の近くに中国語講習会を開いていたので、勤めの帰りにそこに通った。講習会の連中も楽しく中国の歌を原語で歌ったりして良い時をすごした。得がたい青春だったと思う。

 

二月十五日

 わが家の庭のしだれ紅梅がぱっと咲いた。円を描いたように咲くので、花火のようだ。今年は暖かくて、まだ一度も雪が降らずに昨日は春一番が吹いた。変わった年だ。私などは暖かくてたすかる。

 彼とはわが夫になった人である。父には大反対され、勘当だなといわれたが、友達などが結婚させる会など作って、あれよあれよというまにわが夫になってしまった。彼とはよく旅行をした。彼との思い出に旅行のことを打ってみようと思う。

 

二月二十六日

 今、私は夫のレクイエムを打っている。

 この頃テレビの歌番組で、よく「千の風にのって」という曲がながれる。いい歌だ。体の中にずんと響いて、そのうちじわじわと涙がにじみでてくる。

 アメリカの同時多発テロで、亡くなって人の哀悼会で、歌われる歌だそうだが、アメリカ民謡だそうで、昨年暮れ、紅白で歌われて、爆発的に人気の出た歌だそうである。

  お墓には来ないで下さい。

  僕はお墓にはいません

  僕は千の風になって、空をとんでいます。

 というような歌詞である。

 まだあんまりきいていないので、はっきりしないが、なにしろ聴いて感動してしまったのである。

 車椅子の身でお墓にもあまりいけない身なので、夫も風になって、私の身のまわりに、吹いてくれているんだと思うとふっと心が軽くなるのである。

 本当にいい歌だ。

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このような感じで、祖母の思い出や日常がつらつら書かれている。

私もおばあちゃんになったらこういう文章が書けるようになるのだろうか? それともおばあちゃんになっても増田やはてなブログに投稿しているのだろうか?

祖母が投稿した増田を発見する孫の気持ちを考えるといたたまれなくなってきた。ごめんな、孫。