アオヤギさんたら読まずに食べた

暮らし、エンタメ、金、自己啓発、ときどき旅

「メアリと魔女の花」ここをあともうちょっとこうして欲し委員会(完全ネタバレ感想)

スタジオポノック第1回長編作品「メアリと魔女の花」を見ました。

f:id:ao8l22:20170709110417p:plain

 

見終わったあとの感想はこちら。

 

 

「思い出のマーニー」はかなり好きな作品なので、今回はかなり楽しみにしていたのですが、う、う、う、うーん!という感じで難しさを抱いています。

 

まず大前提として

映像表現はとてもよかった。特に冒頭のシーンはすごいわくわくで「え~、これからどうなっちゃうの~!」という気持ちになった。

あと主人公のメアリのキャラ造形もよいです。目につくものに次から次へと飛びついちゃう。一生懸命だけど空回りしがち。不器用。褒められ慣れてない(から褒められるとすぐに調子のっちゃう)。でもちゃんと「ありがとう」と「ごめんなさい」を言えるいい子。特に最後の要素はすごく意識して作られている(ちょっとプリキュアを思い出しもした)ように思え、それはものすごくジュブナイルとしていい物語だなと思わされます。

メアリは作中でちょっとしたピンチを切り抜けるために嘘をついてしまい、そのせいでピーターを巻きこんでしまうんだけど、それをちゃんと「私のせいだ!」と反省し、ピーターに素直にごめんと言えるんですよね。作中でメインキャラがやらかすつくりってかなり観客にストレスを与えるんだけど、ストレスを与えつつも観客が主人公のことを嫌いにさせないようにするのは、監督の女の子キャラ作りのうまさだなと。

 

ほかにももちろんよかったシーンはたくさんあって

ふだん褒められ慣れていないメアリが、「君は天才だ!」と褒められて調子に乗ってウソついちゃったり、寝る前に反芻して「へへへ~~」となってるシーンはすごくよかったです。あと現実世界ではコンプレックスになる赤毛を褒められたあとの表情もすごくいい。

あとどうぶつさんたちだいしゅうごうのシーンもいい。入れ替わりも天丼っぽくてよかった。

さらに先輩魔女(その正体は実は……)のキリッとした感じも超絶よかったです。

そして何より猫がぶさいくなのがかわいい。ぶさいくなんだけど動きとかでかわいさを出していて「ぎ、技術力!」となりました。

 

とはいえ

ここを!!!もうちょっと!!!!こうしてくれれば!!!!5倍くらい好きな映画になったのに!!!というポイントが多くてクネクネしています。

 

・魔法学校の雰囲気

最初から暗すぎて「ワーッこんな学校にはいりたーい!」という気持ちにならない。例えばハリーポッターとかは「私もホグワーツに入りたい!」と全世界の子どもを惹きつけましたし、「千と千尋の神隠し」は「この世界は怖いし早く帰りたい、でももうちょっといてもいいのかも…」と思ってしまうような圧倒的な魅力がありました。

(どうも魔法学校が怖いのは原作からしてそういう描写らしく、それでいいのかもしれないんですけど)入りはすごく楽しく、メアリも「ちやほやされてうれしいし、本当にこっちの世界で生きちゃおうかな~!」くらいまで浮かれ切ったほうが、そのあとの展開が怖くなっていいと思うんですよね…(好みといったらそれまでなんですけど…)

 

・登場人物のバックボーンがよくわからない

メアリの描写は魅力的なんですが、それと対照的に、メアリ以外のキャラクターのことがよくわからないです。これは「アリエッティ」でもそうだったかも。登場人物がどういう背景をもっていて、だからこういう行動をする…というのがなくて、感情移入がしづらい。

たとえばピーターはお母さんが病弱だから一生懸命働いている男の子なんですけど、それが台詞で言われるまでよくわからない。(素人考えですが)「ベッドに座っているお母さんと一緒に撮った写真が貼ってある」とか「咳をしているお母さんに声をかけて出かけるピーター」とかそういうシーンがあれば、ピーターの「早く大人になりたい」みたいな台詞がもっとグッときたはず。

あと先輩魔女(というかスチュアートおばさま)の人生もよくわからない。魔法の国から逃げてきてこれまでどうやって生きてきたの? 人間関係はどうしたの? けっこう噂話とか多そうな田舎っぽいけどよそものとして浮かなかったの? 家族は? そもそもこの話何年代のどこを舞台にしてるの?(80-90年代ですかね)とかとか。魔女が昔住んでいた家が「おかえりなさい、もう帰ってこないと思いました」みたいな、ああいうセリフはすごくよかったので、こう、ちょっとでも背景を想像させるような要素がほしかった!

魔法の国の人々は本当に謎で、彼らがどこで生活しているのか、生徒たちはどこからやってきているのか、魔法の国はどれだけの広さがあるのか、全然わからなくて、そういう意味でも世界としての魅力が「惜しい!!」と思ってしまった。また「千と千尋」の話をしますが、湯屋の人たちが魅力的に見えるのって、あの人たちが湯屋で「生きてる」ってことが伝わってくるからなんですよね。

 

・こんなにジブリっぽい要素を入れんでも!

「魔女の宅急便」の名前はよく出されていますが、もう数多くの「ジブリっぽい」要素が次から次へと出てきて、もちろん監督はジブリの後継者のひとりではあるけど、何もそこまでジブリっぽくしなくても~~~!と思ってしまった。「あのシーンって○○だよね」と特定の作品名が出てくるの、やりすぎるとよくない気がしてしまう。

 

・作中の登場人物の行動が気持ちでつながってない

たとえばピーターと引き離されて魔女の家にたどり着くシーン、メアリが一瞬完全にピーターのことを忘れたみたいなリアクションとって話が進むんですよね。「ピーター…私、どうしよう!」みたいなことくらい言ってもいいのでは。かなりのんきに「おじゃましまーす」と言っていて、ちょっと笑ってしまった。

 

・出てきたアイテムが使われずに終わる

「えっ!?」といちばん仰天したポイント。銃は登場したら撃たれないといけないのではなかったか!?「おばさまから渡されるたった一粒のアイテム」が出てきたら、メアリがこれをどう使ってピーターを救うのか?と観客は期待すると思うのですが、まさかで使われずに終わるという…。「えっ、あっ、そういう抜け道が…なるほどね~」と驚きはしましたが、もっと気持ちよくなりたかった…。

メッセージとしては最後にメアリに「魔法はいらない!」と言わせるわけで、あんまり魔法で解決!ってしたくなかったのかもしれないんですけど、でもまあ最後だから景気よく魔法使ってほしかったですよ!!!

 

思ったより長くなってしまった……。

でも本当にメアリはかわいかったし、ジュブナイルとしてしっかりしていた(ただ、子どもが楽しむかどうかは正直ちょっとわからない。怖くて泣くかもとは思う。気持ちよさや楽しさ的な、作品の快楽は少なめだと感じます)。ポノック2作目の企画が動いたら見に行きます。でもな~~~でも~~~う~~~~ん(モヤモヤした気持ちのまま終わる)。

ダイエット途中経過報告。1カ月で3.7キロ減りました

ダイエットをしています。痩せようと思ったきっかけはいろいろありますが、大きいものの1つは後輩の結婚式での写真を見て「ギリギリ耐えるが、すでに限界値まで膨れ上がっている。このままでは耐えなくなるな」です。

そもそも修論の追い込みから一気に体重が増えまして、そこから体重がゆるふわのまま固定され、さらにここ3カ月で一気に2キロ追加し、人生最大値に……という危機的状況に。「絶対キレイになってやる><」の思いのもと、ダイエットを始めました。

基本的には食事制限(ゆる糖質制限)。に加えて、あすけん(ダイエット・栄養管理アプリ http://www.asken.jp/)を使っています。つまるところレコーディングダイエットですね。さらに食事の記録をサボらず続けるために、「ダイエットを応援するnote」(https://note.mu/ao8l22/m/me8f134a808c5)というのを始めました。

おかげさまでたくさんの方に応援してもらっておりまして、1か月アプリの記入を継続することができています。本当にありがてえ!

ひとまずの目標はマックスから7キロ減。あすけんに記入をはじめてから約1か月…ということで、途中経過報告をば。

あすけんに記入を始めてから1か月で、3.7キロ減りましたー!

f:id:ao8l22:20170625183325j:plain

 

 

緑の折れ線は体重、青の線は体脂肪率(体脂肪率はこの乱高下っぷりで分かるように、ちょっと体重計が信用できない語り手になっています…参考程度に記録し始めた)。

あすけん記録中のマックスとミニマムの差は3.7キロ。人生最大値からだと4.4キロ減です。

糖質制限はしているものの、かなりゆるめ(昼などは炭水化物を食べることもあるし、酒も断っていない)なのと、あと運動してないのはちょっと不健康すぎる痩せ方になるよね、ということで、FEELCYCLEも始めてみました。

f:id:ao8l22:20170625183805j:plain

↑FEELCYCLEイメージ図。実際はこのイケてるっぽい空気の中で「もう死ぬっす…」と思いながら必死で自転車をこいでいる。

週2~3回くらいを目指して行っていこうと思います。

 

3.7キロ減っても、なんというかぶわっと膨らんでいた風船の空気をやや抜いた感じなので、あんまり体型や見た目、疲れやすさ疲れにくさなどには響いている感じはしないのですが、目標の7キロ減までまだまだ頑張ります。絶対キレイになってやる><><

経産省若手ペーパーはなぜバズったのか?

「『経産省ペーパー』は何を見落としていたのか」というイベントに行ってきました。

www.facebook.com

経産省の若手が作った「不安な個人、立ちすくむ国家」のレポートに関するトークイベントで、登壇者はスマートニュース望月優大さん、社会学者の仁平典宏さん、ココナラ創業者の南章行さん。司会はプレジデントの星野貴彦さんです。

 

イベント自体は全体的にさまざまな視点からペーパーの問題点や欠けている部分についてふれるもので、だいぶまとめづらいので、印象に残ったところだけ感想を書いていきます。カギカッコ内は「なんとなくこういうことが話されていたなあ」という記憶なので、メモや音声起こしなどではありません。

 

〇人生すごろく

f:id:ao8l22:20170607220951j:plain

「この人生すごろく、右のほうは大手企業の正社員というごく限られた人間のモデルだからそこまで問題視はしていないけれど、左は大問題。右のようなモデルを支えるために女性たちがケア労働を担わされて、その負担を避けるために女性たちが結婚や出産から『降りている』現状が見て取れる。少子化の原因はどう見てもここ」

 

〇資料から透けて見える本音

 

 「ペーパーは世代間対立をあおっていて、財政は限られているから、高齢者から予算を取り上げて、若者に回そうという理屈になっている。でも本来は緊縮以外にも方法はあり(歳入増など)、そもそも議論のスタートが財政削減ありきになっている」

f:id:ao8l22:20170607221649j:plain

「この図を見ると非常によくわかるんだけど、本来なら『若者への投資』がどのような影響を与えるかを書いていかなければいけないのに、『変化が激しい時代を生き抜く力』みたいなラップみたいな文章になっている。この図を見ると、すべての要素が『財政負担の軽減』に導かれるようになっていて、ここありきなんだなということがうかがえる」

 

〇日本の金持ちにはノブレス・オブリージュがない

「日本の金持ちにはノブレス・オブリージュがないですよね」

「それは日本の教育がいっけん平等なように見えているので、えらくなったり金持ちになった人は『自分が努力したからだ』と思い、そうじゃない人たちに対して『努力が足りなかったからだ』『もっとがんばれるはずだ』と思っているからなのではないでしょうか」

「日本の金持ちはけっこう話すと気さくですよね。でもそれは弱い人たちへの冷たさと表裏一体でもある」

 

〇なんだか人選がおかしくない?

「問題にしているような社会の課題を聞くにあたって、話を聞いた専門家がちょっとおかしくないですか?この問題ならもっと聞くべき人がいる気がする」

f:id:ao8l22:20170607222216j:plain

「松岡さんだけちょっと異質ですよね。だから松岡さんに最初コンタクトをとって、そこから松岡さんの人選で集めていったのでは。そして今回の問題だけではなく、もっと日本の問題全般について聞いているんだけど、今回レポートとしてまとまったのがこの分野だったんでしょう」

f:id:ao8l22:20170607222455j:plain

「本来ならこの5つのスコープがあって、今回は社会だけについてまとめている。だから色で囲んであるんでしょうね」「ああー、5部構成だったんですね。これからあと4つ出てくる」「いや、それはどうかな…」

 

〇なぜ経産省ペーパーはウケたのか?

 「実は去年にも似たようなレポートが出されていて、でもそれは全然バズっていないんですよね」

「去年はもう少しデータ中心だったけれど、今回はメッセージが書いてある。バーッと読んでいくと最後にメッセージが出てくるのでわかりやすい。FBなどですごくシェアされましたけど、このパワポを読み込んでいる人はそれほどいないはず。読み込んでいたらあんなシェア速度でないはず」

「日本のエリートがタブーに踏み込んだ!という驚きがあったのかもしれませんね」

 

 

 

 私はこの辺がキーなんじゃないかなと思っていて、「同世代(自分たちと同じ存在)」が、「同世代の問題を解決するべく立ち上がり」、「同世代を苦しめているが社会的に触れにくい要因に切り込んでいってくれた」というある種の爽快感があったように思います。

でも思うんですが若者だっていずれは高齢者になるしある日突然動けなくなる日がやってくるかもしれないし、そうなったときに「本当の弱者ではないはず、まだがんばれるはず」と判断される社会に生きていくのはしんどそう。若者/高齢者の二項対立と若者の優遇措置を持てはやすのは、かなり近視眼的な見方だなと感じました。

 

しかしこのレポート、読めば読むほど「日本は大変だ。もうどうすればいいの~?」という雰囲気があり、このレポートでもってなにか具体的な策を行政に期待するというよりかは(もちろん動いてくれるならそれは素晴らしいことですが)、こうした社会の中で自分はどう行動するべきなのかという指針にするのがよさそう。

 

ちなみに若手ペーパー、いろんな出版社が声をかけているらしいです。でも出るとしたら印税はどういう配分になるんでしょうか。30人で丸分けなのかな?